マネックス証券オリジナル市況概況 (毎営業日、朝夕2回更新。)
- 朝(8時30分ごろ) NY概況および東京市場見通し
- 夕(17時30分ごろ) 東京市場概況および個別銘柄概況
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国市場は保護主義的な通商政策が嫌気され反落 日本市場は米国株安で下落か
NYダウ: 24415.84 ▼251.94 (5/31)
NASDAQ: 7442.12 ▼20.34 (5/31)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
米国市場はトランプ米政権がEUやカナダ、メキシコから輸入する鉄鋼とアルミニウムへの追加関税の適用猶予を延長せず関税を発動すると発表したことで米国の保護主義的な通商政策が改めて嫌気され反落しました。46ドル安でスタートしたダウ平均は280ドル安近くまで売られた後一旦切り返し昼前に120ドル安程度まで持ち直す場面もありましたが、午後に再び下げ幅を広げると一時は315ドル安まで下落する場面もみられました。結局ダウ平均は251ドル安の24,415ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も20ポイント安の7,442ポイントとなりました。
2.経済指標等
5月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は62.7と前月から上昇し市場予想も上回りました。4月の米個人消費支出(PCE)も前月比0.6%増となり市場予想を上回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは前年同月1.8%上昇し市場予想と一致しています。米個人所得も前月比0.3%増となり市場予想と一致しました。先週一週間の米新規失業保険申請件数も前週比1万3000件減の22万1000件となり市場予想を上回る改善となりました。一方で4月の中古住宅販売仮契約指数は前月比1.3%下落の106.4となり上昇を見込んでいた市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、生活必需品と資本財・サービス、電気通信サービス、ヘルスケアが1%を超える下落となりました。一方で公益事業と情報技術が小幅に上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄はビザ(V)を除く29銘柄が下げました。米国の保護主義的な通商政策が嫌気されるなかで海外比率の高い銘柄の下げが目立ちプロクター・アンド・ギャンブル(PG)とキャタピラー(CAT)が2%を超える下落となったほか、ボーイング(BA)も2%近く下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、決算が市場予想を下回った1ドルショップのダラー・ツリー(DLTR)とダラー・ゼネラル(DG)がともに急落し、ダラー・ツリーが14%以上下下げ、ダラー・ゼネラルも9%以上下落しています。また、投資判断の引き下げを受けて半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)も8%近く下げています。一方でゼネラル・モーターズ(GM)が急伸し13%近く上げました。自動運転を手掛けるグループ会社がソフトバンク・ビジョン・ファンドから出資を受けると発表したことが好感されました。
5.為替・金利等
長期金利は0.01%高い2.86%となりました。ドル円は108円台後半で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。米雇用統計発表を今晩に控え様子見となりやすいなかで日経平均が下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)