グローバル・マクロ・ウォッチ

大槻 奈那

チーフ・アナリスト 大槻 奈那によるグローバル・マクロ解説をお届けします。

大槻 奈那 プロフィール

米FOMC終了: 日欧に続き金融政策維持。これまで以上に消費者物価に注目

・26日、日銀、ECBに次いで米FOMCが金融政策決定会合を実施。予想通り、政策金利は1-1.25%に据え置かれた。

・FRBの資産縮小開始時期を「年末まで」から「比較的早期に」と、時期を明示しない形に変更。「9月開始」に偏った市場予想を沈静化し、時期に幅を持たせた。

・FRBの懸念は低迷する消費者物価指数。9月19-20日の次回会合まで現状程度で留まるなら9月から資産縮小を断行するとみられるが、更に下落した場合後ずれのシナリオも。

米FOMC: 政策変更なし。注目のバランスシート縮小時期については、幅を持たせた格好

26日、米連邦準備制度理事会(FOMC)の金融政策決定会合が終了。FF金利誘導目標は、予想通り、1-1.25%に据え置かれた。

会合後の声明文については、特にバランスシートの縮小開始時期について何らかの示唆があるかどうかが注目されていた。タカ派のコメントを期待して上昇していた米国債金利は低下、これに連動して為替も若干円高ドル安に振れた(図表1)。

債券市場で期待が低下した要因は、声明文のバランスシート縮小時期へのコメントである。前回6月のFOMCでは、「年内開始」として、その開始後の資産圧縮ペースのメドについても公表した(図表2、3)。

次回FOMCは9/19-20と2か月弱も間が空く。この間の注目点は、毎月の消費者物価指数、イベントとしては、8月24~26日のジャクソンホール会議でのイエレン議長のスピーチである。

消費者物価指数は、足元で低調である。これについて、FRBは携帯電話のサービス料金などの一時的な要因が混入しているとしてきたが、それ以外にも、過剰融資問題から低迷している自動車販売などが響いている。さらに個人所得も、概ね底堅いものの、その他の要因を押し返すだけの勢いはない(図表5)。

このため、現在の景気の回復基調が腰折れるリスクもゼロではない。失業率、消費者物価指数、賃金上昇率などが現状通りのペースで回復する限り、バランスシートの縮小は9月開始、次回の利上げは12月というシナリオ通り進むとみられる。しかしもし何かの指標、特に消費者物価の上昇率が下落した場合は要注意である。

近年、消費者物価指数上昇率が1.5%を割っている時にFRBが利上げしたことはないことから(前掲図表4)、各種指標、特に消費者物価指数が更に低下した場合、バランスシートの縮小開始も追加利上げも先送りになる可能性が高いだろう。

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