今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
重要指標の発表が相次ぐ週
先週の米国株式市場
―決算上振れでナスダックやS&P500が史上最高値を更新―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は主要3指数が揃って上昇し、S&P500は約1ヶ月半ぶりに、ナスダック総合指数は約15年ぶりに史上最高値を更新しました。 マイクロソフト(MSFT)やアマゾン(AMZN)、グーグル(GOOG)などハイテク企業の決算が市場予想を上回り株価が大きく上昇したことが指数を押し上げました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中21銘柄が上昇、9銘柄が下落しました。マイクロソフト(MSFT)は23日に発表した1―3月期の決算で、1株利益が前年同期比減益となったものの市場予想を大幅に上まったことで買われ、24日に10%超の大幅上昇となりました。また、中国政府がクレジットカードの外資参入規制を緩和すると発表したことで今後の成長期待からビザ(V)は5%近い大幅上昇となりました。
<下落>
3M(MMM)は今期の通期の業績見通しを引き下げたことで売られ、週間で1.7%安となりました。
先週発表された主な経済指標
中古住宅販売件数3月 519万件 市場予想 503万件 前月 489万件
新築住宅販売件数3月 48.1万件 市場予想 51.5万件 前月 54.3万件
住宅関連の経済指標は好悪まちまちといった状況となりました。
22日に発表された中古住宅販売件数は519万件と前月から販売件数が増加し、市場予想を上回りました。中古住宅の販売件数は2ヵ月連続で前月比増加しました。
一方23日に発表された新築住宅販売件数は48.1万件と前月から大きく減少し、減少率は11.4%と2011年2月以来約4年ぶりの大幅な減少となりました。
今後発表される主な経済指標
1―3月期 四半期実質国内総生産(GDP速報値) 前期比年率 市場予想 +1.0%
29 日に 1-3 月期の米国 GDP 速報値が発 表されます。7-9 月期は 5.0%、10-12 月期は 2.2%と堅調な成長を続けてきた米国 経済ですが、1-3 月期は市場予想で 1.0%成 長とやや鈍い成長が予想されています。さら に、アトランタ連銀による週次の予想によれ ば 1-3 月期は 0.1%成長とより低い成長が 見込まれており、実際の発表値が注目されま す。
マーケットビュー
―重要指標の発表が相次ぐ週―
先週のマーケットビューでは米国株が下値模索となるような展開は考えづらい一方で高値追いと なるには材料不足と考えられるため、ダウ平均は 1 万 8000 ドル付近での停滞となるのではないか と記しました。マイクロソフト(MSFT)、グーグル(GOOG)、アマゾン(AMZN)などハイテ ク関連銘柄の決算上振れなどからナスダック総合指数が大幅に上昇し、15 年ぶりに史上最高値を更 新したものの、ダウ平均は上値がやや重く概ね想定通りの展開となりました。
先週発表された米国の主要な経済指標のうち、市場予想を上回る好内容だったのは中古住宅販売件 数と耐久財受注(総合)にとどまり、残る新築住宅販売件数や新規失業保険申請件数、耐久財受注(除 く輸送用機器)などは市場予想を下回るとともに、比較対象となる前月や前週の数値から悪化しまし た。経済指標という観点から見ると依然として良い状況にはなく、改善が待たれます。
こうしたなか今週は 1-3 月期の GDP、米連邦公開市場委員会(FOMC)、個人消費支出、ISM 製造業指数と重要指標の発表が続きます。特に ISM 製造業指数は足下まで 4 ヵ月連続で定価が続い ており、改善が期待されます。
一方、24 日時点のトムソン・ロイター社の集計によれば S&P500 採用企業の 1-3 月期の 1 株 利益は前年同期比 0.9%の減益見込みと、10 日時点の 2.9%減益、17 日時点の 2.0%減益から上方 修正されました。
米国株は S&P500 の昨年末からのパフォーマンスがほぼ横ばい圏と、企業の冴えない決算を織り 込んでいるような値動きとなっていることから、このまま上方修正が続くようであれば、アップサイ ドを期待することもできそうです。ただ、やはりダウ平均で 1 万 8500 ドルを超えるような本格上 昇には 4 月以降の経済指標の改善が待たれるのではないかと考えています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕