今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
経済指標の底入れを受け米国株は上昇か
先週の米国株式市場
―ダウ平均や S&P500 は雇用統計を好感して上昇―
<先週の概況>
先週の米国株式市場はダウ平均が週間で 1%近く上昇し、S&P500 と共に史上最高 値の更新が視野に入る水準となった一方で ナスダック総合指数は小幅に下落しました。 ダウ平均やS&P500も7日までは売り優 勢で推移しましたが、8 日に発表された雇用 統計で非農業部門雇用者数の伸びが前月差 22.3 万人増と 2 ヶ月ぶりに 20 万人台を回 復したことなどが好感されて大きく上昇し ました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の 30 銘柄中 20 銘柄が上昇、10 銘柄が下落しました。ビザ(V)は以前子会社で あったビザ・ヨーロッパの買収に向け競技に入ったと報じられ、週間で 5.6%高と大きく上昇し ました。
<下落>
4 月末にかけての上昇が顕著だったマイクロソフト(MSFT)が 1.9%安となりました。その他 インテル(INTC)やアップル(AAPL)、IBM(IBM)などハイテク関連株がやや売られました。
先週発表された主な経済指標
非農業部門雇用者数 4 月 +22.3 万人 市場予想 +22.8 万人 前月 +8.5 万人
失業率 4 月 5.4% 市場予想 5.4% 前月 5.5%
8 日に発表された 4 月の雇用統計は、非農業 部門雇用者数が前月差+22.3 万人と前月から改 善したものの、市場予想は下回りました。また、 3月分は+12.6万人から+8.5万人に下方修正さ れました。失業率は前月から 0.1 ポイント改善 の 5.4%と市場予想と一致しました。 雇用者数の伸びが 2 ヶ月ぶりに 20 万人を超 え、まずは一安心といったところですが、3 月 分は下方修正されており、冬場の労働市場の落 ち込みが大きかったことを示唆する内容となり ました。
今後発表される主な経済指標
4 月 小売売上高(自動車・ガソリン除く 前月比) 市場予想 +0.6% 前月 +0.5%
13 日に 4 月の小売売上高が発表されます。 変動の大きい自動車とガソリンを除く売上高 について、市場では前月比 0.6%増と堅調な 伸びが予測されています。 1-3 月期の米国経済は悪天候や西海岸の ストライキの影響が指摘される中で、GDP の 伸びが 0.2%にとどまるなどやや停滞しまし た。4 月から再び高い伸びを見せられるのか どうか、米国経済の根幹である個人消費の強 さを示す小売売上高に注目が集まります。
マーケットビュー
―経済指標の底入れを受け米国株は上昇か―
当レポートでは米国経済のファンダメンタルズの弱さを根拠として、米国株が高値追いをすること は考えづらいとのビューをお示ししてまいりました。ダウ平均は足下まで 1 万 8000 ドルを挟んで 揉み合いが続いており、概ね想定通りの株価推移となっています。 ただ、雇用統計や ISM 製造業景況感指数などここへきて発表された経済指標が徐々に底入れを示 しつつあり、米国の経済状況は改善に向かっている気配があります。また、1-3 月期の米国企業の 決算は当初は 2009 年以来約 5 年ぶりに前年同期比減益に転じると見られていましたが、5 月 8 日 時点のトムソン・ロイター社の集計では 2%の増益を確保する見込みとなっています。 13 日に発表する小売売上高など、経済指標のさらなる改善を確認したい局面ではあるものの、年 初からの出遅れが目立つダウ平均が 1 万 8000 ドル台後半まで上昇する下地が整いつつあると考え ています
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕