今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
決算シーズン本格化 減益予想も心配は不要
先週の米国株式市場
―中国株安懸念とギリシャ問題の進展期待で高安まちまち―
<先週の概況>
先週の米国株式市場はダウ平均が週間で30ドル高と小幅に反発した一方、S&P500やナスダック総合指数は続落とまちまちでした。
週の半ばには中国株安によるリスクオフムードから大幅安となりましたが、中国株が反発したこと、またギリシャが債務問題について譲歩する姿勢を示したことで、支援が継続するとの期待が高まって週末にかけて大きく上昇しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中17銘柄が上昇しました。中でもボーイング(BA)とファイザー(PFE)が週間で3%の上昇となりました。
<下落>
半導体を手がける同業他社がパソコン需要の低迷を理由に第2四半期の売上見通しを引き下げたことを受け、インテルは週間で4.5%の下落となりました。また、原油安を受けシェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)が売られました。
先週発表された主な経済指標
ISM非製造業景況感指数 6月 56.0 市場予想 56.4 前月 55.7
6月のISM非製造業景況感指数は56.0と前月から改善したものの、市場予想の55.7を小幅に下回りました。指数の内訳を見ると、「新規受注」「業況」「入荷遅延」の3項目は前月から改善した一方で、「雇用」が55.3→52.7と悪化したことが指数の改善の足を引っ張った格好となりました。
ISM景況感指数が製造業・非製造業揃って前月から改善したのは昨年8月以来10ヶ月ぶりとなりました。冬場からの景況感の落ち込みが底入れし、改善に転じたのが鮮明となっており、米国経済にとって非常にポジティブなシグナルと言えます。
今後発表される主な経済指標
6月 小売売上高(自動車・ガソリン除く 前月比) 市場予想 +0.5% 前月 +0.7%
14日に小売売上高が発表されます。5月分は前月比0.7%増と個人消費に復調気配がみられました。引き続き堅調に推移するかどうか注目されます。
マーケットビュー
―決算シーズン本格化 減益予想も心配は不要―
先週のマーケットビューでは、ギリシャ問題の余波で週の前半は軟調な推移が予想されるものの、直近の経済指標が好転していることから、そうした局面は押し目買いの好機ではないかと記しました。実際には中国株安の深刻化という新たな材料によってダウ平均は1万7500ドル程度まで下落しましたが、その後持ち直して取引を終えています。
今週から米国企業の4-6月期の決算発表が本格化します。トムソン・ロイターの10日時点の集計によれば、S&P500採用企業の純利益は前年同期比2.9%の減少と、減益が見込まれています。ただ、以下の表の通りセクター別の業績動向を確認すると、減益のほとんどは原油安に伴うエネルギーセクターであり、大きな不安を抱く必要はありません。
引き続き、経済指標の好転を根拠に、米国株に対してやや強気な見方を維持しています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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