今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
引き続き上昇局面継続か
先週の米国株式市場
―ギリシャの金融支援合意受け大幅上昇―
<先週の概況>
先週の米国株式市場はダウ平均が週間で1.8%高と大幅に続伸しました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は4.3%高とさらに大きく上昇しました。
ギリシャへの金融支援の継続が合意されたことを受け米国株は大きく上昇して始まると、その後も好決算を発表した銘柄を中心に買い先行となりました。ナスダック総合指数はグーグル(GOOG)などが大幅高となったことなどから大きく上昇して史上最高値を更新しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中、28銘柄が上昇しました。グーグル(GOOG)などの決算が好調だったことを受けIT関連株への期待が高まり、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、シスコシステムズ(CSCO)などが大きく上昇しました。
<下落>
国際原油価格が軟調に推移したことを受け、シェブロン(CVX)は1.3%の値下がりと冴えない値動きとなりました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(前月比) 6月 -0.3% 市場予想 +0.3% 前月 +1.0%
小売売上高(自動車・ガソリン除く) 6月 -0.2% 市場予想 +0.4% 前月 +0.5%
6月の小売売上高は前月比マイナス0.3%と+0.3%の市場予想を大きく下回って、前月から売上高が減少しました。また、前月分は+1.2%から+1.0%に下方修正されました。変動の大きい自動車・ガソリンを除いた売上高も前月比マイナス0.2%と、市場予想を大きく下回る冴えない内容となりました。
個人消費の勢いが失速している可能性を示唆する弱い内容ですが、自動車販売など個人消費関連のその他の指標は概ね堅調に推移していることから、現時点では単月のブレの可能性もあり、過度に悲観的になる必要はないと考えられます。
今後発表される主な経済指標
6月 中古住宅販売件数(年率換算) 市場予想 540万件 前月 535万件
22日に6月の中古住宅販売件数が発表されます。先に発表された先行指標となる住宅着工件数、NAHB住宅市場指数などは堅調に推移しており、住宅市場は引き続き回復トレンドを維持していると見られています。
市場予想では5月分を上回る年率換算540万件と2009年11月以来約5年半ぶりの高い水準となると予測されています。
マーケットビュー
―引き続き上昇局面継続か―
先週のマーケットビューでは、経済指標の好転を背景に米国株には強気な見方を維持しており、S&P500全体では前年同期比減益が予想されているものの、エネルギーセクターの影響が大きいため心配は不要であると記しました。結果、ダウ平均は週間で2%近い上昇とギリシャ問題への懸念による売られすぎから値を戻し、1万8000ドルの節目を回復しました。また、ナスダック総合指数は連日で史上最高値を更新、S&P500も最高値の更新まで約2ポイントに迫っています。
本格化している米国企業の決算発表は概ね堅調に推移しています。トムソン・ロイター社の調査によれば引き続きエネルギーセクターの影響が大きいため、S&P500全体で見れば減益予想となっていますが、減益率は前週の-2.9%から-1.7%に上方修正されました。
経済指標欄で紹介したように6月の小売売上高はネガティブサプライズとなりましたが、先週発表された鉱工業生産指数や設備稼働率、住宅着工件数などは市場予想を上回る好内容でした。引き続き米国経済は回復基調を維持しているとみられ、いまだに出遅れ感が強いことから引き続き強気な見方を維持しています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。