今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
弱い推移続くも米国株は長期的に買える局面との見方を維持
先週の米国株式市場
―原油安などが重荷となりダウ平均は7日続落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は主要3指数がそろって下落しました。中でもダウ平均は7月30日から8月7日まで7日続落となりました。
原油価格の下落が続いたことが重石となりました。また、ISM非製造業指数や雇用統計などの経済指標が堅調だったことや、FRB高官が9月利上げの開始が適切であるとの意向を示したことから、利上げが9月にも行なわれるのではないかとの思惑が高まりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇は4銘柄のみとなりました。中でもアメリカン・エキスプレス(AXP)はアクティビストヘッジファンドのバリューアクト・キャピタル・マネジメントが10億ドル相当の株を取得したことが明らかになり、大きく上昇しました。
<下落>
ウォルト・ディズニー(DIS)は4-6月の売上高が市場予想に届かなかったうえ、ケーブル・ネットワークス部門の利益見通しを引き下げたことが嫌気され9%近い大幅下落となりました。シェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)は原油価格の下落が嫌気されともに大幅安となっています。
先週発表された主な経済指標
雇用統計
7日に発表された7月分の米国雇用統計は米国労働市場が堅調な回復を続けていることを示唆する内容でした。非農業部門雇用者数は前月差21.5万人増と市場予想の22.5万人増を下回って前月から伸びが鈍化したものの、堅調な回復の目安とされる20万人を上回り、さらに6月分は22.3万人増から23.1万人増へ、5月分は25.4万人増から26.0万人増にそれぞれ修正されました。
労働者の平均賃金は前年比2.1%の上昇と前月の2.0%の上昇から改善したものの、市場予想の2.3%は下回りました。概してみると、堅調な内容だったものの9月利上げを確実視させるほどの強いものではなかったようです。
今後発表される主な経済指標
7月 小売売上高(前月比) 市場予想 +0.6% 前月 -0.3%
13日に7月分の小売売上高が発表されます。6月分は前月比マイナスでネガティブ・サプライズとなっただけに、7月分で回復が見られるかが注目されます。市場予想では前月比0.6%の増加と堅調な内容になると予測されています。
マーケットビュー
―弱い推移続くも米国株は長期的に買える局面との見方を維持―
先週のマーケットビューでは、企業収益の改善などを背景に、米国株は長期的に買える水準であるとの見方をお示ししました。ただ、結果的にダウ平均が週間で300ドル超下落するなど米国株は冴えない値動きとなりました。
先週発表された主な経済指標のうち、新車販売台数(年率換算1755万台)、ISM非製造業景況感指数(56→60.3)、雇用統計などが堅調で、ISM製造業景況感指数はやや軟調でした。中でもISM非製造業指数の強さは圧巻で、約10年ぶりの高水準を記録しました。引き続き米国経済は良好であり、利上げという目先の重石はあるものの、中長期的に見て買っていける水準にあるとの考えを維持しています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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