今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
今週はFOMC議事要旨に注目
先週の米国株式市場
―ウォーレン・バフェットの大型買収など受け上昇―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は上昇しました。著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が、プレシジョン・キャストパーツ(PCP)社の巨額買収を発表したことなどがマーケットのセンチメント改善につながりました。
中国の人民元切り下げのサプライズを受け週の半ばにかけては軟調推移となった米国株ですが、今後も大幅な切り下げが継続するとの懸念が後退すると週後半に再び上昇しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中22銘柄が上昇しました。5-7月期の決算が増収増益となり、売上高が市場予想を上回ったシスコシステムズ(CSCO)が3%超上昇して上昇率トップとなりました。シェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)は原油価格が下落しましたが、売られすぎとの見方が出たようで株価は上昇しています。
<下落>
ウォルト・ディズニー(DIS)は前週に引き続いて下落率トップとなりました。ネガティブ・サプライズとなった決算発表の影響をまだ引きずっているようです。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(前月比) 7月 +0.6% 市場予想 +0.6% 前月 ±0%(上方修正)
除く自動車・ガソリン 7月 +0.4% 市場予想 +0.4% 前月 +0.2%(上方修正)
7月の小売売上高は前月から0.6%の増加で市場予想と一致しました。また、前月分がマイナス0.3%からプラスマイナスゼロ%に上方修正されました。変動の大きい自動車・ガソリンを除いた売上高は前月比0.4%の増加で市場予想と一致し、こちらも前月分が上方修正されました。
7月分の売上高が堅調だったことはもちろん、ネガティブ・サプライズでマイナスだった前月分が上方修正されたことは、米国の個人消費が堅調に推移していることを示唆するもので、非常にポジティブな材料と言えそうです。
今後発表される主な経済指標
7月開催分 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
19日に7月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表されます。7月のFOMCでは事前の予想通り金融政策の現状維持が決定されましたが、利上げの条件について「もういくぶん労働市場が改善すれば」と事実上利上げのハードルが引き下げられたようなかっこうになりました。
金融政策の現状維持は全員一致の決定ですが、FOMCメンバー間で利上げについてどの程度突っ込んだ議論が展開されたのか注目されます。
マーケットビュー
―今週はFOMC議事要旨に注目―
先週のマーケットビューでは、経済指標の改善を背景に中長期的に米国株は買える水準にあるのではないかと記しました。結果的にダウ平均は週間で100ドルほど上昇しました。
今週の最大の注目はFOMC議事要旨の発表です。9月利上げの可能性を高めるタカ派的な内容であれば米国株安につながる可能性が高いとみられますが、先週述べたことと同様米国経済の改善は継続しており、そうした局面は買いのチャンスであると考えています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。