今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
好調な実体経済に反する株安は投資チャンス
先週の米国株式市場
―中国リスクが意識され急落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、ダウ平均が週間で1,000ドル超の大幅下落となりました。再び始まった中国株の下落を受け、中国経済の鈍化が改めて不安視されました。
19日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は市場予想よりもハト派的な内容で、発表当日にダウ平均は一時ほぼ前日比横ばいまで値を戻しましたが、その後再び下げ幅を広げました。日本株・欧州株などとともに世界同時株安が進行しています。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<下落>
ダウ平均採用の30銘柄全てが下落しました。歯止めのかからない原油安を受けシェブロン(CVX)は週間で12%近い大幅安。エクソン・モービル(XOM)も8%の下落となりました。ハイテク関連の下げもきつく、アップル(AAPL)、インテル(INTC)、マイクロソフト(MSFT)が揃って8%を超える下落となりました。
先週発表された主な経済指標
7月開催分 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
7月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が発表されました。議事要旨では利上げの時期が近づいているという認識はコンセンサスがとれているものの、利上げの開始時期については意見が分かれていることが示されました。一部の参加者は低インフレや設備投資に不安が残るとの見方を示していたことが明らかとなり、議事要旨は全体としてみると市場が考えていたよりもハト派的な内容でした。
ハト派的だった議事要旨の内容を受け、市場では9月の利上げ開始可能性がやや後退したとの見方が強まったようです。
今後発表される主な経済指標
8月 カンファレンスボード消費者信頼感指数 市場予想 93.9 7月 90.9
25日に8月のカンファレンスボード消費者信頼感指数が発表されます。先に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数は92.9と前月の93.1から小幅に悪化しました。
カンファレンスボード消費者信頼感指数は原油安などが下支えとなって、前月の90.9から改善すると見込まれています。
マーケットビュー
―好調な実体経済に反する株安は投資チャンス―
先週のマーケットビューでは、米国経済の回復を背景に引き続き中長期的には買える水準にあると記しました。結果的には中国経済への不安の増大から半ばパニック売りといった様相となり、米国株は大幅安となりました。
米国の実体経済は引き続き好調を維持していますが、現在はパニック売りが出尽くすのを待つしかない、といった状況です。先週発表された経済指標は、NAHB住宅市場指数、住宅着工件数、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、中古住宅販売件数など軒並み市場予想を上回って前月から改善しました。また、今週発表予定の4-6月のGDP改定値は速報値の年率換算2.3%から上方修正され、3%台の成長となる見込みです。米国の実体経済は非常に好調である以上、今後企業収益も順調に増加するとみられ、米国のファンダメンタルズ面に心配はいりません。
そうした中で起きている目に見えない不安に対する過剰反応は、相場がくれたチャンスであると考えています。ただ、株価の大底を当てることは誰にもできません。一度に資金を全額投入するのではなく、少しずつ買い下がるイメージで投資に取り組んでいただきたいと思います。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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