米国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント

今週の注目ポイント (原則月曜日更新)

世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

ようやく底打ちか 雇用統計に注目

先週の米国株式市場
―パニック売り収まり反発―

<先週の概況>

先週の米国株式市場はダウ平均が週間で183ドル高と上昇しました。週初は前週から引き続いて中国経済への不安が止まらず大きく下落して始まりましたが、日本や欧州などの株価が反発に転じたことを受け米国株も反発しました。
27日には原油価格が1日で10%以上上昇、前週に一時116円台をつけていたドル円は121円台後半まで反発するなど、徐々に過度なリスクオフムードがやわらぎました。

米国株式市場バリュエーション

業種別リターン

ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング

<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中17銘柄が上昇しました。アップル(AAPL)はクックCEOが中国でのアップル製品の販売は順調に推移していると一部メディア向けに発表したことを受け、7%超の大幅反発となりました。また、原油価格の反発を受けてシェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)の2社も大きく上昇しました。

<下落>

一方、ウォルマート(WMT)、マクドナルド(MCD)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)など個人消費関連銘柄の一部が軟調でした。

先週発表された主な経済指標

カンファレンスボード消費者信頼感指数  8月 101.5 市場予想 93.4 7月 91.0

8月のカンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想の93.4を大幅に上回る101.5で前月(90.9→91.0に上方修正)から改善しました。
内訳を見ると期待指数(82.3→92.5)、現況指数(104→115.1)とも前月から大きく改善しました。労働市場についての調査も、職探しが困難であると答えた人の割合が前月の27.4→21.9と大きく減少し、労働市場の回復が継続していることを示唆する力強い内容となりました。


今後発表される主な経済指標

8月 非農業部門雇用者数(前月差)   市場予想 +22.0万人 7月 +21.5万人
8月 失業率              市場予想 5.2%    7月 5.3%

9月4日に8月の雇用統計が発表されます。普段から米国の経済指標の中で最も、つまり世界の経済指標の中で最も注目度が高い米国の雇用統計ですが、今回の発表への注目度はなおいっそう高いと言えます。それは、雇用統計が利上げの最大の判断材料となるからです。
8月に起こった世界中のマーケットの混乱は9月の利上げ開始の可能性を下げました。それでもFRBの関係者たちは9月利上げ開始の可能性を排除しないという趣旨の発言をしています。雇用統計が好内容であれば9月利上げ開始の可能性もいまだ残されています。


マーケットビュー
―ようやく底打ちか 雇用統計に注目―

先週のマーケットビューでは、目に見えない不安に対する過剰反応は、相場がくれたチャンスであり、少しずつ買い下がるイメージで取り組んでいただきたいと記しました。結果的に米国株は水曜日に大幅反発し、ようやく底打ち機運が高まりました。
今週の注目はなんといっても4日に発表される雇用統計です。マーケットの混乱を受けダドリーNY連銀総裁が「数週間前と比べて9月に利上げを開始する必然性が低下した」と発言するなど、9月利上げ開始の可能性は低下しました。ただ、今週発表される雇用統計が労働市場の回復継続を示唆する力強い内容であれば、9月のFOMCで利上げが決定される可能性も残されています。
直近発表された経済指標から、米国経済はかなりしっかりと推移していると見られ、引き続き中長期的に買える水準にあると考えていますが、しばらくは利上げを警戒したマーケットのセンチメントが継続するでしょう。本格的な上昇再開は、利上げが決定された後に訪れるのではないかと見ています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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