米国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント

今週の注目ポイント (原則月曜日更新)

世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

9月利上げの可能性は低い

先週の米国株式市場
―世界同時株安の様相強まり反落―

<先週の概況>

先週の米国株式市場はダウ平均が週間で540ドル安と大幅に反落しました。
9月1日に日本株、欧州株とも大幅に下落し世界同時株安の様相が再び強まって、米国株も大きく下落しました。週の半ばには中国株の下げ渋りを受けて反発しましたが、4日に発表された雇用統計が概ね好内容で9月の利上げ開始が改めて意識されたことで、反落しました。

米国株式市場バリュエーション

業種別リターン

ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング

<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中、上昇はインテル(INTC)1銘柄にとどまり、残る29銘柄が売られました。インテル(INTC)はウィンドウズ10に最適とされる新型プロセッサーを発売したことで、今後の業績拡大期待が高まり堅調でした。

<下落>

リスクオフムードが強まり、幅広い銘柄が売られました。マクドナルド(MCD)、コカコーラ(KO)など消費財関連は比較的小幅な下げにとどまっています。

先週発表された主な経済指標

非農業部門雇用者数(前月差) 8月 +17.3万人 市場予想 +21.7万人 7月+24.5万人
失業率  8月 5.1% 市場予想 5.2% 7月 5.3%

8月分の米国雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月差17.3万人増と市場予想を下回りました。6月分は23.1万人増→24.5万人増、7月分は21.5万人増→24.5万人増とそれぞれ上方修正されました。また、失業率は前月の5.3%→5.1%に改善しました。
8月分の非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったものの、過去分が上方修正され、失業率も改善したことから、概して堅調な内容の雇用統計でした。

今後発表される主な経済指標

9月 ミシガン大学消費者態度指数・速報値

今週(9月7日の週)は注目度の高い経済指標の発表は比較的少ない週ですが、11日に9月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値が発表されます。
米国の消費者センチメントは足下まで堅調に推移していますが、株価の大幅調整を受け、センチメントの悪化が起きているのか注目されます。

マーケットビュー
―9月利上げの可能性は低い―

先週発表された雇用統計は9月利上げ開始の可能性を残す堅調な内容でした。ただ、それでも筆者は9月の利上げ開始は行われないと見ています。その理由は足下のマーケットの混乱です。グラフに示したのは、S&P500のボラティリティ・インデックス、「VIX指数」と米国のフェデラル・ファンド目標レートの1990年以降の推移です。VIX指数は別名「恐怖指数」とも呼ばれるように、マーケットの心理を表すとされます。同指数の平常時の水準は10-15程度であるが、8月24日に一時40を超え、足下でも28程度と高止まりしています。
グラフに示したように、VIX指数が40を超えるというのは、「リーマン・ショック」、「第1次ギリシャ危機」、「欧州信用危機」といった世界経済を揺るがすような大きな問題が発生したときの水準です。今回市場が何を怖れているのかはっきりとはしませんが、大きな混乱に見舞われているなかでFRBがあえて9月利上げにこだわる理由はないとみられます。
米国株は9月の利上げ見送りでいったんリバウンド基調となるも、本格的な上昇再開は利上げ開始後になる、そのように考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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