今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
さあいよいよ運命のFOMCへ
先週の米国株式市場
―中国株の反発受けリスクオフムード和らぎ反発―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は上昇しました。レイバーデーの休場明けの8日は中国株の反発を受けてリスクオフムードが和らぎ、ダウ平均は400ドル近い大幅上昇となりました。
翌週のFOMCで利上げが決定されないのではないかとの思惑が高まる中、週の後半にかけても買い優勢となりダウ平均とS&P500は週間で2%超、ナスダック総合指数は3%近い大幅上昇となりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中、25銘柄が上昇しました。新製品の発表会を行ったアップル(AAPL)は発表前日まで大きく上昇していたことから発表日当日こそ下落したものの、発表翌日にはアナリストから新製品に好意的なコメントが寄せられたことで再び上昇し、週間で4.5%の上昇となりました。また、ゼネラル・エレクトリック(GE)は欧州の規制当局が仏重電のアルストムのエネルギー部門の買収を承認したと報じられ、大きく上昇しました。
<下落>
原油価格が前週から低下したことを受け売られたシェブロン(CVX)など5銘柄が下落しました。
先週発表された主な経済指標
ミシガン大学消費者態度指数・速報値 9月 85.7 市場予想 91.1 前月 91.9
9月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は85.7と前月の91.9から6.2ポイントの大幅低下となりました。悪化は7月から3ヵ月連続で、前月からの低下幅は2012年12月以来2年9ヶ月ぶりの大きさでした。
中国の景気減速懸念や足下の株安を受け消費者センチメントが大きく悪化したようです。
今後発表される主な経済指標
9月 小売売上高(前月比) 市場予想 0.3%増 前月0.6%増
小売売上高(自動車・ガソリン除く) 市場予想 0.4%増 前月 0.4%増
15日に8月の小売売上高が発表されます。米国の個人消費は堅調に推移しているとみられており、小売売上高は全体の売上高が前月比0.3%増、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比0.4%増と、どちらも前月に引き続き堅調な伸びとなることが予想されています。
マーケットビュー
―さあいよいよ運命のFOMCへ―
いよいよ17日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。筆者は以前から当欄で記している通り、9月FOMCで利上げが決定される可能性は低いと考えています。その理由は、足下のマーケットの混乱とFRBが利上げを急がねばならない理由が見当たらないことです。
先週のレポートでも記したように、8月24日にS&P500のVIX指数が40を超えました。40とは経済危機が懸念されるような際に記録されてきた数値で、マーケットの大混乱を示しています。9月11日のVIXは23.2とやや落ち着きを見せてきたとはいえ、7月末の12.1の2倍近い水準にあり、まだまだマーケットは警戒モードです。このような状況でFRBが混乱に拍車をかけかねない決断をすることは考えにくいのではないかと思っています。
また、確かに米国の労働市場は堅調な回復を遂げてきましたが、インフレ率はいまだ目標値である2%を下回って推移しており、FRBが今このタイミングで利上げをしなければならない強い理由は見当たりません。FRBが年内ゼロ金利解除を示唆してきたのは、もちろん景気過熱やインフレの行き過ぎを防ぐためですが、そのような兆候を示す明確な指標が現れているわけではないのです。
FRBは9月利上げを見送って、利上げ開始は12月までズレこむのではないかと考えています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。