今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国株はダブルボトム完成で安心感も足下は若干の過熱感
先週の米国株式市場
―早期利上げ観測後退とコモディティ価格反発で上昇―
<先週の概況>
先週の米国市場はダウ平均が週間で612ドル高と大幅に上昇しました。前週末に発表された雇用統計が低調だったことや、8日に発表されたFOMC議事要旨がハト派的だったことから早期の利上げ観測が後退しました。また、原油をはじめとするコモディティ価格が反発したことで、世界的なリスクオフムードが和らいだことが好感されました。
ダウ平均は週明けの13日も上昇し、昨年12月以来の7日続伸を記録しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中ナイキ(NKE)を除く29銘柄が上昇しました。デュポン(DD)は最高経営責任者(CEO)の退任が発表され、今後の経営改革が期待されて買いが集まりました。また、物言う株主として知られるファンドが株主になったことが明らかになったゼネラル・エレクトリック(GE)は、今後の株価対策への期待が膨らんで大きく上昇しました。原油価格の上昇を受けてシェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)も反発しました。
先週発表された主な経済指標
FOMC議事要旨
8日に発表された9月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、世界経済の減速が米国経済に与える影響を見極められるまで利上げを控えるという趣旨で、概ねハト派的な内容でした。
市場では9月の利上げ開始についてより積極的な議論が行われていたと想定されていましたが、予想よりも利上げ見送りがすんなりと決定されたと判断され、早期の利上げ観測が後退する格好となりました。
ただ、依然としてFRB関係者は年内利上げ開始の旗を降ろしておらず、12月利上げがメインシナリオであると考えています。
今後発表される主な経済指標
9月 小売売上高(前月比) 市場予想 +0.2% 前月 +0.2%
除く自動車・ガソリン 市場予想 +0.3% 前月 +0.3%
14日に9月の小売売上高が発表されます。変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高は8月まで4ヶ月連続で前月比プラスと、米国の個人消費は堅調に推移していると考えられます。
新車販売台数など、個人消費の先行指標が堅調に推移していることから、小売売上高は9月分も前月比プラスを維持するとみられています。
マーケットビュー
―米国株はダブルボトム完成で安心感も足下は若干の過熱感―
先週のマーケットビューでは、世界経済をめぐる不透明感が解消されていないことから、ダウ平均は1万6000ドル~1万7000ドルのレンジ推移が続くのではないかと記しました。早期利上げ観測の後退とリスクオフムードの後退で、ダウ平均は反発基調を強め、1万7000ドルを回復しました。
以下に示したとおり、ダウ平均のチャートはダブルボトムが完成し安心感が出てきました。ただ、マネックス証券が独自に算出したS&P500の騰落レシオは、足下で126%と若干過熱感がある水準まで上昇しています。ダウ平均は7連騰中でもあり、直近は利益確定売りが出て1万6000ドル台に押し戻されるのではないかとみています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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