今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
企業決算睨みながらもみ合いか
先週の米国株式市場
―金融株の好決算など受け主要3指数が揃って上昇―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、主要3指数が揃って上昇しました。経済指標の下振れなどから引き続き早期利上げの可能性の後退が好感されたことに加えて、週後半に発表されたシティグループ(C)の決算が市場予想を上回る好内容だったことから、金融株に買いが広がり、全体の上昇を牽引しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中21銘柄が上昇、8銘柄が下落、コカコーラ(KO)は横ばいでした。
先週ダウ平均採用銘柄の中で唯一下落したナイキ(NKE)が今週は反発して上昇率首位だったほか、予想を上回る好決算を発表したゼネラル・エレクトリック(GE)も上昇して7年ぶりの高値をつけました。
<下落>
ドル高の影響などから今期の売上高見通しを引き下げたウォルマート(WMT)は週間で12%近い大幅下落となりました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(前月比) 9月 +0.1% 市場予想 +0.2% 前月 ±0%(下方修正)
除く自動車・ガソリン 9月 ±0% 市場予想 +0.3% 前月 +0.2%(下方修正)
14日に発表された9月の小売売上高は、全体としてやや低調な内容でした。ヘッドラインは前月比+0.1%と市場予想を下回り、前月分も+0.2%から±0%に下方修正されました。
変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高も9月分が±0%、前月分が+0.3%→+0.2%に下方修正されています。
単月の結果で個人消費の伸びが鈍化していると判断するのは早計ですが、今後の消費動向に注目する必要がありそうです。
今後発表される主な経済指標
住宅関連指標
今週は住宅関連指標が数多く発表されます。19日にNAHB住宅市場指数、20日に住宅着工件数、22日に中古住宅販売件数が発表されます。
14日に発表された地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)では住宅市場が緩やかに回復しているとの認識が示されました。今週発表される各指標も前月分から改善すると見込まれています。
マーケットビュー
―企業決算睨みながらもみ合いか―
先週のマーケットビューでは、ダウ平均のチャートがダブルボトムを形成し、底入れ期待が高まっているものの、足下のテクニカル指標ではやや過熱感があると記しました。結果的にダウ平均などの主要指数は小幅に上昇しました。
先週から、米国企業の決算発表が本格化しています。10月16日時点のトムソン・ロイターの集計によれば、7-9月期の米国企業の純利益は前年同期比3.9%の減益見込みとなっています。3.9%の減益と聞くと、米国企業の決算状況に不安が残りますが、減益の原因は以下の表のように原油などのコモディティ価格の下落によるエネルギーセクターの不調で説明がつきます。株価動向は個別企業の決算発表を睨みながらとなりますが、引き続き短期的にやや過熱感があることに加え、月末のFOMCの開催を控えてしばらくは足下の水準からやや下方向での推移となるのではないかとみています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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