今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
引き続き短期的な調整に注意しておきたい局面
先週の米国株式市場
―原油価格反発などを受け6週続伸―
<先週の概況>
先週の米国株式市場はダウ平均が週間で250ドル近く上昇するなど、主要3指数が揃って上昇、6週続伸となりました。米国市場は原油価格の上昇を好感して週初から上昇して始まると、週半ばには利益確定売りに押されましたが、ダウ平均は週末に反発し、週間で1.4%の上昇となりました。
6日金曜日は雇用統計が市場予想を大きく上回る好内容だったことを受け、ダウ平均は上昇した一方、S&P500は小幅下落とまちまちでした。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中21銘柄が上昇、9銘柄が下落しました。雇用統計が市場予想を上回る好内容で12月の利上げ開始期待が高まったことを受け、利ざやの拡大が期待されて金融株が買われました。JPモルガン(JPM)は週間で6.6%高、ゴールドマン・サックス(GS)は6.2%高とそれぞれ大きく買われました。原油価格の上昇を受け、シェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)も上昇しました。
先週発表された主な経済指標
非農業部門雇用者数(前月差) 10月 +27.1万人 市場予想 +18.5万人 前月 +13.7万人
失業率 10月 5.0% 市場予想 5.0% 前月 5.1%
6日に発表された米国雇用統計は、特に注目度の高かった非農業部門雇用者数や平均時給が市場予想を大幅に上回る好内容でした。非農業部門雇用者数は27.1万人と市場予想の18.5万人を大きく上回り、今年に入ってからの最高を記録しました。
また、失業率は市場予想通り前月の5.1%から5.0%に低下し、2008年4月以来7年半振りの低水準となったほか、平均時給は前年比2.5%の高い伸びとなりました。12月の利上げ期待が高まる非常に強い雇用統計だったと言えます。
今後発表される主な経済指標
10月 小売売上高(除く自動車・ガソリン) 市場予想 +0.4% 前月 ±0%
13日に10月の小売売上高が発表されます。9月分は変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比横ばいにとどまるなど、市場予想を下回る低調な結果となりました。
ただ、新車販売台数や消費者センチメントなどの経済指標は好調を保っていることから、個人消費は堅調に推移しているとみられます。市場予想では10月の小売売上高は前月比0.4%の上昇と堅調な数値になると見込まれています。
マーケットビュー
―引き続き短期的な調整に注意しておきたい局面―
先週のマーケットビューでは、筆者が集計している騰落レシオから見ると割高感があり、短期的な調整に注意と記しましたが、米国株は力強く続伸となりました。
引き続き騰落レシオはやや割高感があり、主要指数が6週連続上昇となっていることから短期的な調整に注意したい局面と考えています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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