今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
短期的なリスクオフ到来か
先週の米国株式市場
―ダウ平均週間で4%近い大幅安 10月以降の上昇の反動か―
<先週の概況>
先週の米国株式市場はダウ平均が週間で3.7%の大幅安となりました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は5日続伸で4.3%下落しています。
原油価格の下落やFRB高官の12月利上げに前向きな発言などはあったものの、週間で4%の大幅安となるような材料ではなく、10月以降のほぼ一本調子の上昇で過熱感が出ていたところに利益確定売りが重なったとみられます。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇はデュポン(DD)とゼネラル・エレクトリック(GE)の2社のみにとどまりました。デュポンは暫定的なCEOが正式にCEOに指名され、今後の業績向上期待がたかまったとみられます。
<下落>
発表した11-1月期の売上見通しが市場予想を下回ったシスコシステムズ(CSCO)が大きく売られ、原油安でエクソン・モービル(XOM)とシェブロン(CVX)の2社も大幅安となりました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(除く自動車・ガソリン) 10月 +0.3% 市場予想 +0.4% 前月 ±0%
13日に発表された10月の米小売売上高は変動の大きい自動車とガソリンを除く売上高が前月比0.3%増となり、市場予想の+0.4%増を下回りました。
市場予想を下回ったとはいえ増加基調を維持しており、個人消費は堅調に推移していると判断できそうです。
今後発表される主な経済指標
10月 消費者物価指数(CPIコア指数・前年比) 市場予想 +1.9% 前月 +1.9%
17日に10月の消費者物価指数(CPI)は発表されます。食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比1.9%の上昇と予想されています。市場予想と一致、または僅かに下回る程度であればマーケットの年内利上げ観測に大きな変化が出る可能性は低いとみられます。
マーケットビュー
―短期的なリスクオフ到来か―
先週のマーケットビューでは、筆者が集計しているS&P500の騰落レシオに割高感があり、短期的な調整に注意したい局面と記しました。結果的にダウ平均が週間で4%近く下落するなど、米国株は大きく下落しました。ダウ平均はサポートラインとして意識されやすい200日移動平均をあっさりと割り込みました。
マーケットに調整ムードが出たところに、フランスで大規模なテロ事件が発生したことで、投資家の短期的なリスク資産離れが進み、"リスクオフ"ムードが高まることが予想されます。ダウ平均は16,750~17,000ドル程度まで調整する可能性があるとみています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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