今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
12月利上げが決定的となり堅調な展開か
先週の米国株式市場
―堅調な雇用統計を受け上昇―
<先週の概況>
先週の米国株式市場はダウ平均が週間で49ドル高となるなど、主要3指数揃って小幅に上昇しました。原油価格の下落や3日に発表されたECBの追加金融緩和策の内容が市場の期待に届かなかったことからダウ平均は一時大きく売られたものの、4日に発表された雇用統計が堅調で利上げをめぐる不透明感の払拭が好感され大幅高となり、週間では小幅高となりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中18銘柄が上昇、12銘柄が下落しました。アナリストの買い推奨を受けてマイクロソフト(MSFT)が週間で4%近く上昇し、上昇率トップとなりました。
<下落>
原油価格の下落を受けエクソン・モービル(XOM)が3%近い下落となったほか、シェブロン(CVX)も小幅に下げています。また、1日に発表されたISM製造業景況感指数が改善と悪化の境目となる50を下回ったことなどからキャタピラー(CAT)も2%近く下落しています。
先週発表された主な経済指標
非農業部門雇用者数 11月 +21.1万人 市場予想 +20.0万人 前月 +29.8万人(上方修正)
失業率 11月 5.0% 市場予想 5.0% 前月 5.0%
4日に発表された11月の米雇用統計は市場予想とほぼ同様または上回る好内容で、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げがほぼ決定的な状況となりました。
非農業部門雇用者数は11月分が前月差21.1万人増と市場予想の20万人増を上回る堅調な伸びとなったことに加え、過去分についても計3.5万人上方修正されました。
その他の指標も市場予想と同水準またはそれを上回る堅調な内容で、労働市場の回復が確かなものであることを改めて印象づけました。
今後発表される主な経済指標
11月 小売売上高(前月比)
(自動車・ガソリン除く)市場予想 +0.3% 前月 +0.3%
11日に11月の小売売上高が発表されます。全貌が明らかになるわけではありませんが、年末商戦の結果の一部が明らかとなるため、普段よりもさらに注目度の高い小売売上高と言えるでしょう。
市場予想では、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比+0.3%と堅調な結果になるとみられています。
仮に市場予想から下振れて前月比マイナスなどの結果が出ても、12月利上げというコンセンサスに大きな影響を与える可能性は低いとみられます。
マーケットビュー
―12月利上げが決定的となり堅調な展開か―
先週のマーケットビューでは、重要な経済指標やイベントが目白押しで大幅な値動きに注意と記しました。やはりダウ平均は連日のように3桁台の大幅な値動きとなりましたが、ECBの追加金融緩和が期待はずれというネガティブな結果と、堅調な雇用統計などのポジティブな結果が相殺される形で、週間では小幅高となりました。
堅調だった11月分の雇用統計を受け、12月15日、16日に開催されるFOMCで利上げが決定されることはほぼ確実な状況となりました。不透明感の払拭が好感されたことに加え、筆者が独自に計算しているS&P500の騰落レシオは90%台と標準的な水準で推移しており過熱感はあまりないことから、FOMCの開催までは堅調な展開が続くのではないかとみています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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