米国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント

今週の注目ポイント (原則月曜日更新)

世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

騰落レシオを見ると夏場の世界同時株安以来の低水準に

先週の米国株式市場
―原油価格の大幅下落受けリスクオフムードに―

<先週の概況>

先週の米国株式市場は、ダウ平均が週間で600ドル近く、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は4%超下落しました。
WTI原油先物価格が1バレル35ドルまで下落するなど下落に歯止めがかからず、世界経済の先行きに不透明感が強まったことからリスクオフムードが広がり米国株は連日大きく下落しました。

米国株式市場バリュエーション

業種別リターン

ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング

<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中上昇したのはダウ・ケミカル(DOW)との合併が報じられたデュポン(DD)のみでした。

<下落>

幅広い銘柄が大きく下落しました。ゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン(JPM)などの金融株が大きく売られたほか、原油安が嫌気されて建設機械のキャタピラー(CAT)やエクソン・モービル(XOM)も6%前後の大幅安となっています。

先週発表された主な経済指標

小売売上高(前月比) 11月 +0.2% 市場予想 +0.3% 前月 +0.1%
小売売上高(自動車・ガソリン除く) 11月 +0.5% 市場予想 +0.4% 前月 +0.3%

11日に発表された11月の小売売上高は前月比0.2%の増加と、10月の0.1%の増加から全活からの伸びが高まりましたが、市場予想は下回りました。一方、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高は前月比0.5%の増加と市場予想を上回る高い伸びとなりました。
ヘッドラインは市場予想を下回ったものの、11月の小売売上高は米国の個人消費が堅調に推移していることを示す好内容だったと言えそうです。

今後発表される主な経済指標

連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表

今週のマーケットの最大の注目は、15日・16日と開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されるかどうかです。
前回(10月)のFOMC後の声明文で、次回会合で利上げを実施するか判断するという主旨の文言が加えられ、その後発表された最大の判断材料とみられる雇用統計が好調だったことから、今回のFOMCで利上げが決定されることは確実視されてきました。
ただ、あくまで利上げ実施がメインシナリオではあるものの、ここへきて原油価格の大幅な下落が止まらず、株式市場も下落基調を強めるなど混乱が広がりつつあることから、利上げ見送りの可能性が若干上昇しつつあるのかもしれません。
万が一利上げが見送られることになれば、利上げを織り込んで上昇してきたドルが大幅に下落し、マーケットの混乱に拍車がかかる可能性があり、注意を払いたいところです。

マーケットビュー
―騰落レシオを見ると夏場の世界同時株安以来の低水準に―

先週のマーケットビューでは、利上げが決定的となったことで不透明感が払拭され、米国市場は堅調な展開になるのではないかと記しました。実際には原油価格の大幅な下落に伴ってリスクオフムードが広がって、株価は大幅に下落しました。
今週はいよいよFOMCが開催されます。イエレン議長以下、FRB高官たちの発言からすると今回のFOMCで利上げが決定される可能性は非常に高いとみられてきました。筆者も同様にほぼ間違いなく今月利上げが実施されると考えてきました。
いまだにメインシナリオは利上げ実施で変わりはありませんが、ここへ来てのマーケットの混乱をみると、9月のFOMCで利上げが見送られたことが思い起こされます。当時は世界同時株安が発生し、別名恐怖指数とも言われるVIX指数が歴史的な水準まで上昇、FOMCはマーケットの混乱に配慮する形で利上げを見送りました。ただ、当時はそもそも9月利上げ実施が行われるか予測は2つに分かれており、利上げ見送りへの違和感も大きくはありませんでした。
今回利上げが実施された後にもしもマーケットがさらなる混乱に陥ればFRBの判断に批判が集まる可能性があります。一方でもし利上げを見送ったとしても、ではいつになれば利上げが実施できるのかとの批判にさらされる可能性もあるでしょう。FRBは極めて困難な判断を迫られています。
こと株式市場に目を向ければ、短期的に米国株は売られすぎの兆しがみられます。筆者が独自に計算しているS&P500の騰落レシオは11日時点で79%と、80%を割れました。8月に発生した世界同時株安の際も大底は75%で、それに近い水準まで下落していることになります。今年1年で見ても騰落レシオが80%を割れてさらに大きく下落が続いたことはなく、株価は短期的にいったんは反発する可能性があるのではないかと考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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