今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
短期的には戻り期待も経済指標の下振れが懸念
先週の米国株式市場
―原油価格の下落や経済指標の下振れを受け続落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、原油価格の下落や冴えない経済指標を受け続落となりました。前週に大きく下げていたダウ平均は反発して始まったものの、石油在庫統計の大幅な増加などにともなって原油価格が下落したことを受け、週の半ばに大きく下落しました。小売売上高などの経済指標が下振れたこともあり、週末にも大幅安となったダウ平均は結局続落となりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇はエクソン・モービル(XOM)とシェブロン(CVX)の原油関連2社と、このところ下落が続いていたアップル(AAPL)など5銘柄にとどまりました。
<下落>
前週に引き続き幅広い銘柄が下落しました。デュポン(DD)が週間で12%近い大幅安となったほか、決算発表で利益率の悪化が嫌気されたインテル(INTC)も6%近く売られました。ウォルト・ディズニー(DIS)も投資判断引き下げを受けて5%超下落しました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(自動車・ガソリン除く前月比)
12月 ±0% 市場予想 +0.4% 前月 +0.5%
12月の小売売上高は、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比変わらずとなり、+0.4%だった市場予想を大きく下回りました。
暖冬の影響で冬物衣料等の販売が伸び悩んだことが響きました。全米小売業協会(NRF)が年末商戦の販売高が予想を下回ったと発表するなど、米国の個人消費は不調というと大げさながらやや伸び悩んでいる可能性がありそうです。
今後発表される主な経済指標
12月 中古住宅販売件数(年換算) 市場予想 520万件 前月 476万件
19日にNAHB住宅市場指数、20日に住宅着工件数、22日中古住宅販売件数など今週は住宅関連指標が多く発表されます。
中でも中古住宅販売件数は11月分が前月比10.5%の大幅な減少となり、住宅市場の回復鈍化が懸念される内容でした。
市場予想では12月は販売件数の大幅な回復が見込まれていますが、住宅市場の基調を見極めるうえで注目されます。
マーケットビュー
―短期的には戻り期待も経済指標の下振れが懸念―
先週の米国株式市場は、原油価格の下落や経済指標の下振れが嫌気されて続落しました。先週のマーケットビューでは短期的に売られすぎからの反発が期待できるのではないかと記しましたが、原油価格の続落でマーケットのリスクオフムードが強まったところに経済指標の下振れが重なり、米国株は続落しました。
筆者が独自に算出しているS&P500の騰落レシオは引き続き70%台後半と売られすぎの水準にあり、短期的には反発の可能性があるとみています。ただ、先週の当欄でも記しましたが、足下で発表された米国の経済指標は下振れが目立っており、実体経済の成長が鈍化している可能性があります。当然こうした状況下で米国株が高値まで戻すようなシナリオは考えづらいでしょう。
短期の戻りを取りに行く、または長期的な視野で個別銘柄の安値を拾いに行くというような戦略が望ましい局面ではないかと考えています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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