今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
FOMCの声明文次第のマーケットに
先週の米国株式市場
―ドラギECB総裁の追加緩和示唆を受け反発―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が3月にも追加金融緩和を実施する意欲を示したこと、WTI原油先物価格が32ドル台まで上昇したことなどを受け反発しました。
ダウ平均の上昇率が0.7%にとどまった一方で、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は2.3%高と大きくなりました。なお、18日はキング牧師の記念日で休場でした。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中19銘柄が上昇しました。ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)とナイキ(NKE)が6%近く上昇したほか、投資判断の引き上げがあったアップル(AAPL)も4%超上昇しています。
<下落>
決算発表で今年の利益見通しが失望されたアメリカン・エキスプレス(AXP)は12%超の大幅安となりました。同じく決算が冴えなかったIBM(IBM)も6%近く値を下げています。
先週発表された主な経済指標
中古住宅販売件数(年換算) 12月 546万件 市場予想 520万件 前月 476万件
22日に発表された12月の中古住宅販売件数は年換算546万件と、前月および市場予想を大きく上回りました。前月からの伸び率は発表以来最大となっています。
11月に大きく販売件数が落ち込んだことから住宅市場の回復鈍化が懸念されましたが、まずは一安心といったところとなりました。
今後発表される主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)
26日から27日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます(発表は日本時間28日午前4時)。今回は、金融政策は現状維持が既定路線となっていますが、注目は足元のマーケットの混乱に対し、FOMCが声明文でどのようなメッセージを送るかという点です。
昨年末のFOMCで利上げが決定された際に示されたプロジェクション(参加者の予想)から逆算すると、FOMCは今年計4回の利上げを見込んでいます。フィッシャーFRB副議長は年が明けてから「年4回の利上げは妥当」と発言するなど、FRBの高官からは強気の姿勢が目立っています。
こうした強気の姿勢もマーケットの不安心理の一因となっているとみられ、今回のFOMCでその姿勢に変化が見られるのか注目されます。声明文でハト派的な姿勢が示されれば株高、タカ派的ならマーケットの混乱止まらずというシナリオが考えられます。
マーケットビュー
―FOMCの声明文次第のマーケットに―
先週のマーケットビューでは短期的には売られすぎとあって反発が期待できると記しました。先週の米国株式市場は、ドラギECB総裁の追加金融緩和への意欲を受け、反発しました。引き続き売られすぎ感は残っており、反発が期待できる局面だとみていますが、なんといってもFOMCの声明文次第でしょう。経済指標欄に詳細を記しましたが、ハト派的な声明文が出れば、マーケットに大きなポジティブインパクトが出る可能性があるとみています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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