今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
原油価格動向を見極めながらの展開に
先週の米国株式市場
―原油安や欧州金融機関の信用不安で続落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場で、ダウ平均は週間で231ドル安と続落しました。世界的にリスクオフの様相が強かったほか、原油価格が26ドル台まで下落したことが嫌気されました。また、欧州金融機関の一部に信用不安が取り沙汰されたことも市場の重しとなりました。ただ、12日には原油価格が反発したことなどから、リスクオフが和らぎダウ平均は300ドル超の大幅反発を見せています。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中11銘柄が上昇しました。決算が市場予想を上回ったシスコシステムズ(CSCO)は週間で10%近い大幅高となりました。マクドナルド(MCD)、コカコーラ(KO)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)などディフェンシブ銘柄が買われました。
<下落>
ボーイング(BA)は航空機の売上等に関する会計処理について米当局が調査をしていると報じられたことで不透明感が高まったことが嫌気され、週間で11%超下落しました。リスクオフと欧州金融機関の信用不安問題からゴールドマン・サックス(GS)も7%近く売られました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(前月比) 1月 +0.2% 市場予想 +0.1% 前月 +0.2%
小売売上高(除く自動車・ガソリン) 1月 +0.4% 市場予想 +0.3% 前月 +0.1%
12日に発表された1月の小売売上高は、前月比0.2%増と市場予想を上回りました。さらに、12月分は0.1%の減少から0.2%の増加に上方修正されました。変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高も0.4%増と市場予想を上回って前月から改善しました。
米国の個人消費が堅調に推移していることが確認された形で、ひとまず米国経済についての過度の悲観に待ったをかける好内容だったと言えそうです。
今後発表される主な経済指標
1月 消費者物価指数(コアCPI・前年比) 市場予想 +2.1% 前月 +2.1%
19日に1月の消費者物価指数が発表されます。市場予想では前年比2.1%の上昇と、前月から伸びが横ばいとなると予想されています。市場予想を上回って伸びが加速することがあれば、利上げペースが早まる懸念が高まって株が売られる可能性もありそうです。
マーケットビュー
―原油価格動向を見極めながらの展開に―
先週のマーケットビューではイエレンFRB議長の議会証言を見極めるに展開になると記しました。議長の証言内容は、利上げペースの鈍化がありうることを示唆した一方、現時点では利下げやマイナス金利導入を具体的に検討している状況にはないという主旨の発言をするなど、ニュートラルと言った印象でした。週前半は売りに押されたものの、金曜日には欧州の金融機関の信用不安をめぐる問題がやや好転したことや小売売上高が好調だったことから、株価は大きく反発しました。
今週はやや材料難といった状況ですが、やはり原油価格の動向を見極めながらの展開となりそうです。12日の米国市場では金融が大きく買い戻されるなど、ややリスクオフからの巻き戻しの動きが出ただけに、今週は本格反発を期待したいところです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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