今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
ECBのポジティブサプライズに期待
先週の米国株式市場
―原油価格上昇や経済指標の好転を好感し3週続伸―
<先週の概況>
先週の米国株式市場で、ダウ平均は週間で400ドル近く上昇し1万7000ドルの節目を回復しました。WTI原油先物価格が36ドル近くまで回復するなど引き続き上昇したほか、ISM景況感指数が製造業・非製造業ともに市場予想を上回ったこと、雇用統計の非農業部門雇用者数も市場予想を大きく上回ったことなどから米国の景気鈍化懸念が後退し、株が買われました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中26銘柄が上昇しました。リスクオフの後退でゴールドマン・サックス(GS)、JPモルガン(JPM)などの金融株が買われたほか、ウォルト・ディズニー(DIS)は投資判断の引き上げが好感されています。
<下落>
ナイキ(NKE)、ファイザー(PFE)など計4銘柄が下落しました。
先週発表された主な経済指標
ISM非製造業景況感指数 2月 53.4 市場予想 53.1 前月 53.5
2月のISM非製造業景況感指数は53.4と前月の53.5から小幅に下落したもののほぼ横ばいで市場予想は上回りました。
1月の同指数は前月から大幅に低下し米国の景気後退懸念が高まるきっかけとなっていましたが、ひとまず2ヶ月連続の大幅悪化は回避したことで過度の悲観が後退する結果となりました。
今後発表される主な経済指標
ECB政策理事会
10日にECBの政策理事会が開催されます。ドラギECB総裁は今回の会合での追加金融緩和実施をたびたび示唆しており、市場ではその内容に注目が集まっています。追加金融緩和の内容はマイナス金利幅の拡大(マイナス0.1%→マイナス0.4%)や資産買い入れ額の増額などが予想されています。
12月の追加金融緩和発表時には緩和内容が市場の期待に及ばなかったことから失望売りを呼びこむ結果となっただけに、今回の発表では期待を上回る強烈な内容が発表されるか注目されています。
マーケットビュー ―ECBのポジティブサプライズに期待―
先週のマーケットビューではISM非製造業景況感指数に注目で、ネガティブサプライズとなれば株安要因になる可能性があると記しました。結果的には前月から0.1ポイント悪化ながら市場予想は上回るという無難な結果で、マーケットに大きな影響はありませんでした。
今週は米国では目立った経済指標の発表はありませんが、ECB政策理事会の結果発表が注目されます。12月には高い期待を集めながら発表内容が物足りなかったため、株安・ユーロ高のきっかけとなりました。
今回はマイナス金利幅の拡大や買い入れ資産の増額、時間軸の後ずれなどが予想されています。サプライズを起こす手腕に定評のあるドラギECB総裁だけに、続けての失敗はないと期待したいところです。ECBの発表がポジティブサプライズとなれば米国株にも波及して株高となることが予想されます。一方、期待に及ばないとなればダウ平均が3週続伸で1,000ドル以上上昇しているだけに、利益確定売りのきっかけとされそうです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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