今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
6月利上げへの地ならし続く
先週の米国株式市場
―利益確定売りに押されダウ平均6週ぶりに反落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場でダウ平均は週間で86ドル下落し、6週ぶりの反落となりました。前週まで5週連続で上昇し短期的な過熱感が高まっていたダウ平均は、週初こそ小幅に上昇したものの原油価格が反落したこともあり、週の半ばに続落しました。S&P500、ナスダック総合指数もそれぞれ6週ぶりに反落しました。
なお、25日は聖金曜日の休日のため休場でした。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中11銘柄が上昇しました。メルク(MRK)はC型肝炎治療薬の特許使用料を巡る裁判でギリアド・サイエンシズ(GILD)に勝訴し、1.6%上昇しました。その他にもファイザー(PFE)やウォルマート(WMT)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)などディフェンシブ銘柄の堅調さが目立ちました。
<下落>
ナイキ(NKE)は決算発表で売上高などが市場予想を下回ったことから売られ、週間で2.1%下落しました。原油安を受けシェブロン(CVX)は3%近く下落しました。
先週発表された主な経済指標
新築住宅販売件数(年率換算) 2月 51.2万件 市場予想 51.0万件 前月 49.4万
23日に発表された2月の新築住宅販売件数は年率換算51.2万件と、市場予想を上回って前月から改善しました。
販売が加速するような状況にはないものの、米国住宅市場が緩やかな回復を続けていることを示唆する堅調な内容となりました。
今後発表される主な経済指標
3月分雇用統計
非農業部門雇用者数 市場予想 20.8万人増 前月 24.2万人増
平均時給(前年比) 市場予想 2.2%増 前月 2.2%増
4月1日に3月分の雇用統計が発表されます。米国労働市場は堅調な回復を続けている可能性が高く、3月の非農業部門雇用者数は20万人を超える増加になるとみられています。
また、非農業部門雇用者数同様に平均時給の伸びも注目されます。12月分は2.6%増、1月分は2.5%増と高い伸びを示していましたが、2月分は2.2%増と落ち込みました。同指標は将来の物価上昇圧力となるため、再び上方幅が高まるか注目されます。
マーケットビュー
―6月利上げへの地ならし続く―
先週のマーケットビューでは、S&P500の騰落レシオに過熱感が出ていることから、反落に注意と記しました。結果、ダウ平均は小幅ながら6週ぶりに下落しました。
このところFRB高官の「4月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを議論する」という発言が目立っています。同趣旨の発言を行ったのは、ブラードセントルイス連銀総裁、ロックハートアトランタ連銀総裁、ハーカーフィラデルフィア連銀総裁などです。フィッシャーFRB副議長も、今後原油相場などが落ち着けばインフレが加速するとの見通しを示しています。
一方、ブレイナードFRB理事などは米国経済に慎重な見通しを示していることから、FOMCメンバーの見通しは一致していません。そのため必ずしも4月のFOMCで利上げが決定される可能性は高くないでしょう。現時点では、6月のFOMCで利上げが決定される可能性が高いとみられます。
6月利上げ可能性の高まりが、米国株の一段の上値追いの重しとなるのではとみています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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