今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
ファンダメンタルズ好調もやや高値警戒したい水準
先週の米国株式市場
―イエレン議長のハト派発言や堅調な経済指標受け反発―
<先週の概況>
先週の米国株式市場でダウ平均は週間で277ドル高と反発しました。イエレンFRBの議長が講演の中で、世界経済や中国経済の鈍化をリスクとしてあげるなど、ハト派的な発言を受け、週の前半から堅調に推移しました。
また、1日に発表された雇用統計やISM製造業景況感指数が堅調だったことから、米国経済の回復期待が高まり週末にかけても上昇しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中24銘柄が上昇しました。中国での出店を加速させると発表したマクドナルド(MCD)が3%上げたほか、傘下の投資運用会社の売却で合意したと発表したゼネラル・エレクトリック(GE)も2.6%上昇しました。
<下落>
ボーイング(BA)は4,500人を超える人員削減を計画していると報じられ、今後の業績を懸念する売りが出て4%近く下落しました。また、原油安を受けエクソン・モービル(XOM)とシェブロン(CVX)が下落しています。
先週発表された主な経済指標
非農業部門雇用者数 3月 21.5万人増 市場予想 20.5万人増 前月 24.5万人増
失業率 3月 5.0% 市場予想 4.9% 前月 4.9%
平均時給(前年比) 3月 2.3%増 市場予想 2.2%増 前月 2.2%増
1日に発表された3月分の米国雇用統計は、米国労働市場が引き続き堅調な回復を続けていることを示唆する一方で、今後の想定利上げ時期を早めるようなポジティブ・サプライズもありませんでした。
3月分の非農業部門雇用者数は、前月差21.5万人増と市場予想の20.5万人増を小幅に上回りました。また、失業率は前月の4.9%から5.0%に悪化しましたが、これは労働参加率の上昇(62.9%→63.0%)に伴うもので、ネガティブな失業率の上昇ではありません。
今後発表される主な経済指標
3月分 ISM非製造業景況感指数 市場予想 54.1 前月 53.4
4月5日に3月分のISM非製造業景況感指数が発表されます。先に発表された製造業指数は、6ヶ月ぶりに景況感改善と悪化の節目となる50を上回り前月から大きく改善しました。
改善トレンドが鮮明な製造業指数に対し、非製造業指数は悪化傾向を続けていますが、市場予想では3月分は前月から改善すると予想されています。市場予想どおり改善トレンドに転じられるか注目されます。
マーケットビュー
―ファンダメンタルズ好調もやや高値警戒したい水準
先週の米国市場はイエレン議長のハト派的な発言、ポジティブ・サプライズとなったISM製造業景況感指数などを受けて上昇しました。一貫して堅調に推移している労働市場に加えて、原油安とドル高の一服を受け、米国企業の景況感も改善が鮮明になりつつあります。 このように米国経済のファンダメンタルズは好調で、4-6月以降の企業業績には期待が持てそうです。一方、足元の株価水準はやや高値警戒をしたい水準です。グラフに示したのはS&P500と予想PERの推移ですが、足元では過去に天井圏になってきた予想PER18倍が近づきつつあります。引き続き、押し目を拾うような投資スタンスが望ましいと考えています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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