今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米国企業の決算発表が本格化
先週の米国株式市場
―利益確定売りに押され反落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場でダウ平均は215ドル安と反落しました。S&P500やハイテク株比率の高いナスダック総合指数もそれぞれ下落しました。
経済指標の発表が少なくやや材料難の中WTI原油先物価格が一時1バレル35ドル台まで下落したことを受け、売り先行となりました。週の半ばにはハト派的な内容だったFOMC議事要旨が好感され反発する場面もありましたが、高値警戒感もあって再び売りに押されました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇は9銘柄にとどまりました。米政府の定めた新たな規制で節税メリットがなくなるとしてアイルランドのアラガン社との合併計画を撤回したファイザー(PFE)は財務負担の軽減が好感され8%超の大幅上昇となりました。
<下落>
ゴールドマン・サックス(GS)が6%安、JPモルガン(JPM)が3.6%安と金融株2社がそれぞれ下落したほか、ナイキ(NKE)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、ウォルト・ディズニー(DIS)などディフェンシブの一角も売られました。
先週発表された主な経済指標
ISM非製造業景況感指数 3月 54.5 市場予想 54.2 前月 53.4
5日に発表された3月のISM非製造業指数は、54.5と市場予想を上回って前月から改善しました。ヘッドラインを構成する新規受注・業況・雇用・入荷遅延の4項目全てが前月から改善する好内容でした。
先に発表された製造業指数も6ヶ月ぶりに50を回復するなど、原油価格の反転やドル高の一服を受け米国企業の景況感好転が鮮明となっています。
今後発表される主な経済指標
3月分 小売売上高(自動車・ガソリン除く・前月比) 市場予想 +0.3% 前月 +0.3%
4月13日に3月分の小売売上高が発表されます。上述したように米企業の景況感改善は鮮明ですが、新車販売台数がやや伸び悩むなど個人消費の先行きにはやや不安が残ります。
こうしたなか3月の小売売上高が伸び鈍化となるのか、堅調な売上を記録するのか注目されます。
マーケットビュー
―米国企業の決算発表が本格化―
先週のマーケットビューでは、米国経済のファンダメンタルズは概ね好調ながら株価は高値警戒したい水準であると記しました。結果的に米国株は利益確定売りに押される格好で下落しました。
今週からは米国企業の1-3月期決算発表が始まります。トムソン・ロイターの集計によれば、S&P500歳用企業の1-3月期の利益は前年同期比7.6%の大幅減益と見込まれています。これは、エネルギーや素材関連業種の大幅減益の影響です。
コモディティ価格の大幅下落に伴う1-3月期の減益はすでに株価に織り込まれているとみられ、大きな懸念は必要ないと考えています。ただ、当欄で記しているように米国株は引き続きやや割高感が台頭していることから冴えない決算を材料に利益確定売りが進む可能性があり注意が必要です。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。