今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
今週は原油安で売り先行か
先週の米国株式市場
―金融株主導で大幅上昇―
<先週の概況>
先週の米国株式市場で、ダウ平均は週間で320ドル高と大幅に上昇しました。JPモルガン(JPM)が発表した決算が市場予想を上回る好内容だったことから金融株が買われて上昇を主導しました。
また、サウジアラビアとロシアが増産凍結で一致したとの報道が原油価格を押し上げたことも好材料となりました。ダウ平均は年初来高値を更新し、1万8000ドル回復が視野に入ってきています。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中24銘柄が上昇、ファイザー(PFE)は横ばいで残る5銘柄は下落しました。市場予想を上回る決算を発表したJPモルガン(JPM)は7%超の大幅上昇となりました。ゴールドマン・サックス(GS)も5.5%高となっています。また、中国の経済指標が改善したことを受け今後の業績改善期待が高まったキャタピラー(CAT)も大幅高となりました。
<下落>
マーケットがリスクオンに傾いたことから、コカコーラ(KO)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)など一部のディフェンシブセクターが売られました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(前月比) 3月 -0.3% 市場予想 +0.1% 前月 ±0%
小売売上高(自動車・ガソリン除く・前月比) 3月 +0.1% 市場予想 +0.3% 前月 +0.6%
13日に発表された3月の小売売上高は、前月比マイナス0.3%とプラスを見込んでいた市場予想を下回りました。また、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高は、前月比プラス0.1%とプラスの伸びは確保したものの、市場予想を下回って前月から伸びが鈍化しました。小売売上高全体が前月比マイナスとなった理由は明確で、自動車関連の販売の伸びが大きく落ち込んだことにあります。小売売上高のうち、乗用車関連は前月比マイナス2.3%、自動車部品は前月比マイナス2.1%とそれぞれ大きく落ち込みました。
今後発表される主な経済指標
3月分 中古住宅販売件数(年率換算) 市場予想 526万件 前月 508万件
4月20日に3月分の中古住宅販売件数が発表されます。米国の住宅市場は緩慢な回復を続けていますが、なかなか回復加速というところまでは至っていません。
3月分も前月からわずかに販売増加は僅かな伸びにとどまると予想されています。
マーケットビュー
―今週は原油安で売り先行か―
先週のマーケットビューでは、米国経済のファンダメンタルズは好調ながらやや割高感のある水準のため利益確定売りに注意と記しました。結果的に米国株は原油高や金融株の決算を好感して上昇しました。
今週の米国市場は売り先行となる可能性が高そうです。週末に行われた産油国の会合で増産凍結の合意が行われなかったことで、時間外取引で原油先物価格は急落しています。日本市場も熊本の地震・円高・リスクオフのトリプルパンチで大きく下落しています。米国市場も週初は下落して始まる可能性が高く、週後半にかけて値を戻せるかが焦点となりそうです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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