今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
引き続き調整を警戒
先週の米国株式市場
―中国の経済指標悪化など受けダウ平均小幅に2週続落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場で、ダウ平均は週間で33ドル安(0.2%安)と小幅に続落しました。3日に発表された中国の財新PMIが市場予想を下回って前月から悪化したことなどが嫌気されました。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は週間で0.8%安とダウ平均の下落率を上回る下げで3週続落となりました。引き続き一部ハイテク株決算の下振れを嫌気した売りが出ているようです。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中16銘柄が上昇、14銘柄が下落しました。ファイザー(PFE)は今期の業績見通しを上方修正したことが好感されて3%近く上昇しました。また、マイクロソフト(MSFT)やIBM(IBM)など前週に大きく下げたハイテク株の一角に買い戻しが見られました。
<下落>
キャタピラー(CAT)が週間で6%近く下落してダウ平均採用銘柄の下落率首位となりました。中国の経済指標悪化を受け、業績悪化を懸念した売りが出たと考えられます。また、ゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン(JPM)の金融2社も2.5-3%前後の下げとなりました。
先週発表された主な経済指標
非農業部門雇用者数(前月差) 4月 +16.0万人 市場予想 +20.0万人 前月 +21.5万人
失業率 4月 5.0% 市場予想 4.9% 前月 5.0%
平均時給(前年比) 4月 +2.5% 市場予想 +2.4% 前月 +2.3%
6日に発表された4月分の米雇用統計は、平均時給など一部に市場予想を上回って前月から改善する好内容の指標もあったものの、全体的にはやや冴えない結果でした。非農業部門雇用者数は前月差16.0万人増と市場予想の20.0万人増を下回って前月から伸びが鈍化した。さらに、3月分は21.5万人増→20.8万人増に、2月分は24.5万人増→23.3万人増にそれぞれ下方修正されました。ただ、完全失業率に近い水準にあると指摘されている米国の労働市場で雇用者数の伸びが鈍化することは大きな驚きではなく、ましてまだ単月のブレという可能性も捨てきれない状況で、非農業部門雇用者数の下振れについて現時点で悲観する必要はないと考えています。
今後発表される主な経済指標
4月 小売売上高(前月比) 市場予想 +0.8% 前月 -0.3%
小売売上高(自動車・ガソリン除く) 市場予想 +0.3% 前月 +0.1%
13日に4月の小売売上高が発表されます。4月の小売売上高は冴えなかった前月の反動から前月比0.8%増と高い伸びになると予想されています。また、変動の大きい自動車・ガソリンを除いた売上高も0.3%増と堅調な伸びが予測されています。
マーケットビュー
―引き続き調整を警戒―
先週のマーケットビューでは、S&P500の予想PERが17倍台後半とやや割高感のある水準にあることから調整局面入りに注意と記しました。結果的に米国株は小幅な下げにとどまりました。
今週も引き続きどちらかと言えば調整に警戒すべき局面ではないかと考えています。予想PERに引き続き割高感があることに加え、足元で発表されたISM製造業指数や雇用統計などがあまり良くない内容だったことから利益確定売りが出やすいのではとみています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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