今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
FOMC議事要旨が今週最大のポイント
先週の米国株式市場
―小売中心に売られる―
<先週の概況>
先週の米国株式市場で、ダウ平均は週間で205ドル安(1.2%安)と3週続落となりました。決算が低調に終わったディズニー(DIS)などに加えて、百貨店各社など一部小売企業の決算が低調に終わったことで、個人消費の鈍化が懸念されました。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は下落率はダウ平均に比べて小幅な0.4%安だったものの、4週続落となっています。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇は7銘柄にとどまりました。上昇銘柄に特段の傾向はなく、上昇銘柄の多くも小幅な上げにとどまりました。
<下落>
消費関連を中心にきつい下げが目立ちました。ウォルマート(WMT)が5%近く下落したほか、1株利益が市場予想を下回ったウォルト・ディズニー(DIS)も4.8%安となっています。アップル(AAPL)もiPhoneの販売鈍化継続が懸念され2.4%安となりました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(前月比) 4月 +1.3% 市場予想 +0.8% 前月 -0.3%
小売売上高(自動車・ガソリン除く) 4月 +0.6% 市場予想 +0.3% 前月 +0.1%
13日に発表された小売売上高は前月比1.3%増と市場予想を大幅に上回って、前月から売上高が増加しました。大幅な伸びの大部分は、自動車関連の売上高が3月に減少したことの反動によるものですが、自動車やガソリンを除いた売上高も前月比0.6%増と伸びが加速しており、個人消費の堅調な伸びが確認されました。
今後発表される主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
18日に4月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表されます。4月のFOMC声明文では、米国経済の成長が鈍化しているとの認識が示された一方で、労働市場の堅調な回復がフォーカスされるというハト派的・タカ派的どちらにも解釈できる内容でした。
議事要旨でより詳細な議論の過程が明らかになるとみられており、6月のFOMCで利上げが行われる可能性のヒントとなるか注目されます。
マーケットビュー
―FOMC議事要旨が今週最大のポイント―
先週のマーケットビューでは、割高感のある予想PERや軟調な経済指標を根拠に調整に注意と記しました。結果ダウ平均は3週続落となり終値ベースで3月下旬以来の安値をつけました。
今週はFOMC議事要旨をマーケットがどのように解釈するか次第で上昇・下落どちらにも転びそうで難しいところです。S&P500の予想PERは17倍台半ばと徐々に低下しつつあるものの、グラフに示したように依然として割安という水準からはほど遠く、下方向への調整に注意を払っておきたいところです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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