今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
引き続き調整に警戒
先週の米国株式市場
―高安まちまち BREXIT懸念徐々に高まる―
<先週の概況>
先週の米国株式市場はダウ平均が上昇した一方、ナスダック総合指数やS&P500は下落と高安まちまちでした。原油価格の上昇や早期利上げ観測の後退などを好感し、週の前半は3指数とも概ね堅調に推移しました。
ただ、週後半から英国のEU離脱(BREXIT)懸念が高まりリスクオフムードが強まると米国株は売られました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中20銘柄が上昇、10銘柄が下落しました。ヤフー(YHOO)の中核事業売却をめぐり入札に応募しているベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)がダウ平均採用銘柄で上昇率トップとなりました。また、増配を発表したユナイテッドヘルスグループ(UNH)も1.8%の上昇としっかりでした。
<下落>
早期利上げ観測の後退からゴールドマン・サックス(GS)が4%近い下落でダウ平均採用銘柄の下落率トップとなったほか、JPモルガンチェース(JPM)も軟調でした。
先週発表された主な経済指標
イエレン議長講演
6日に行われたイエレンFRB議長の講演では、冴えない内容だった雇用統計への失望を明らかにした一方で1つの指標にとらわれるべきではないとの意向を示すなど、どちらにもとれる内容で今後の利上げ時期について明確な示唆は示しませんでした。
今後発表される主な経済指標
14日から15日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)が行われます。今回のFOMCで追加利上げが決定される可能性は極めて低いとみられています。焦点は声明文でどのような示唆が行われるかという点でしょう。12月のFOMCで利上げが決定された際には、その1つ前の10月会合の声明文で「次回会合で利上げが適切か議論する」との文言が記載されました。今回の会合でそこまで強いメッセージが発せられるかどうかはわかりませんが、声明文のトーンの強さが7月や9月のFOMCで利上げが実施されるかどうかの判断材料となります。
マーケットビュー
―引き続き調整に警戒―
先週のマーケットビューでは、米国株の調整に警戒と記しました。結果的にダウ平均は上昇、ナスダック総合指数とS&P500は下落とまちまちでした。
筆者の米国株についてのビューは前週から変わっていません。ISM景況感指数の伸び鈍化など経済が加速する状況にないなかで、S&P500の予想PERは18倍に近い水準にあり、やや割高感があると考えます。また、英国のEU離脱を問う総選挙が迫るなか市場はリスクオフに傾きやすい環境にあるでしょう。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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