今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
米重要経済指標や英中銀の金融緩和に注目
先週の米国株式市場
―ハイテク株が牽引しナスダック総合指数は年初来高値を更新―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、ダウ平均とS&P500は下落した一方でハイテク株比率の高いナスダック総合指数は上昇と、高安まちまちとなりました。
アップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、アルファベット(GOOGL)などのハイテク株の決算が好調で、ナスダック総合指数は連日で年初来高値を更新しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中11銘柄が上昇しました。中でもアップルは決算が減収減益だったものの市場予想を上回ったことが好感されて5%超上昇し、ダウ平均構成銘柄のうち上昇率がトップとなりました。また、こちらも減収減益ながら決算が市場予想ほど悪化しなかったキャタピラー(CAT)も4%超上昇しています。
<下落>
決算が減収減益で市場予想も下回ったマクドナルド(MCD)が週間で8%超の大幅下落となりました。また、原油安を受けてエクソン・モービル(XOM)やシェブロン(CVX)の両社も売られました。
先週発表された主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)
7月26日から27日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げは見送られました。元々今回の会合で利上げが決定される可能性はゼロに近いとみられており、利上げ見送りは既定路線でした。
声明文冒頭で示される経済状況への認識に大きな変化がありました。労働市場に対する認識について、前回の声明文では「労働市場は鈍化した。(the pace of improvement in the labor market has slowed)」と表現されていたのに対し、今回は「労働市場が力強さを増した(the labor market strengthened)」との表現に変わり、明確に労働市場に対する認識が変更されています。労働市場に対する認識変化は、雇用統計の非農業部門雇用者数の伸びを反映したものです。5月分の非農業部門雇用者数は労働者の伸びが大きく鈍化しましたが、6月分で回復が確認されたことでFOMCメンバーたちの懸念が後退したとみられます。
今後発表される主な経済指標
7月分雇用統計
非農業部門雇用者数(前月差) 市場予想 +17.5万人 前月 +28.7万人
失業率 市場予想 4.8% 前月 4.9%
5日に7月分の雇用統計が発表されます。FOMCの声明文などからすると次回9月のFOMCでの追加利上げの可能性が完全に排除されたわけではありません。その最大の判断材料となるのが労働市場の改善動向になるとみられ、引き続き雇用統計には大きな注目が集まります。
市場予想では非農業部門雇用者数が前月差17.5万人増、失業率が前月から0.1ポイント低下の4.8%とそれぞれ堅調な内容になると予想されています。
マーケットビュー
―米重要経済指標や英中銀の金融緩和に注目―
先週のマーケットビューでは、FOMCの声明文の内容次第で相場動向が変化しそうと記しました。結果的には声明文が比較的ニュートラルな内容だったことから株式市場の反応は限定的でした。
今週は月初とあって重要指標が多く発表されます。1日にISM製造業景況指数、2日に個人消費支出、3日にISM非製造業景況指数、5日に雇用統計といったスケジュールでそれぞれ発表されます。また、4日には英中銀(BOE)の金融政策委員会が開催され、利下げが実施されるのではないかと予想されています。各指標の内容や英中銀の緩和の有無、内容が今週のマーケットの材料となりそうです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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