今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
S&P500のPERはやや割高感あり
先週の米国株式市場
―3指数が揃って上昇しS&P500とナスダックは最高値更新―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、主要3指数が揃って上昇しS&P500とナスダック総合指数はそれぞれ史上最高値を更新しました。
5日に発表された米雇用統計が堅調で、米景気拡大に対する期待が高まりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中19銘柄が上昇しました。メルク(MRK)は同業のブリストル・マイヤーズスクイブ(BMY)が主力のがん免疫治療薬「オブジーボ」の進行肺がん患者に対する後期試験で症状の進行を遅らせることに失敗したと発表したことで買われました。また、良好な雇用統計が発表され早期利上げ期待が高まりJPモルガン(JPM)やゴールドマン・サックス(GS)の金融2社が堅調でした。
<下落>
ファイザー(PFE)は市場予想を上回る決算を発表したものの、材料出尽くしで売られました。また、原油価格の下落を受け、シェブロン(CVX)とエクソンモービル(XOM)の2社も下げています。
先週発表された主な経済指標
非農業部門雇用者数 7月 +25.5万人 市場予想 +18.0万人 前月 +29.2万人
失業率 市場予想 4.8% 前月 4.9%
5日に発表された雇用統計は、全般に堅調な内容で米国労働市場の改善が続いていることを印象づけました。7月の非農業部門雇用者数は前月から25.5万人増と市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。また、6月分が+28.7万人→+29.2万人、5月分が+1.1万人→+2.4万人にそれぞれ上方修正されています。年初から7月分までの非農業部門雇用者数の伸びは平均18.6万人と20万人をやや下回るものの堅調と言える水準で、米労働市場の改善トレンドは継続しているとみてよさそうです。
今後発表される主な経済指標
7月
小売売上高(前月比) 市場予想 +0.4% 前月 +0.6%
小売売上高(自動車・ガソリン除く) 市場予想 +0.4% 前月 +0.7%
12日に7月分の小売売上高が発表されます。米国経済の約7割を占める個人消費は堅調に推移しており、小売売上高も前月から0.4%増と堅調な伸びになると予想されています。
マーケットビュー
―S&P500のPERはやや割高感あり―
先週のマーケットビューでは、英中銀の金融緩和の内容や雇用統計などの経済指標が材料になりそうと記しました。結果的に英中銀は利下げとともに資産買い入れ額の増額を発表しました。また、雇用統計が市場予想を上回る堅調な内容となったこともあり、米国株は上昇してS&P500とナスダック総合指数は史上最高値を更新しました。 今週の米国市場は雇用統計の発表を通過してやや材料難といったところですが、市場のセンチメントが強気に傾く中で一段高となるか注目されます。ただグラフに示したとおりS&P500の予想PERは18倍台半ばまで上昇しており、やや割高感のある水準です。利益確定売りが出やすい局面と言えそうです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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