今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
2日発表の雇用統計が最大注目材料に
先週の米国株式市場
―早期利上げ観測など台頭し主要3指数が下落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、ダウ平均が週間で160ドル近く下落するなど主要3指数揃って下落しました。週末にイエレンFRB議長の講演を控えているとあって様子見地合いが強まり、イエレン議長の早期利上げに肯定的な発言を受けて26日のダウ平均は50ドル以上下落して取引を終えました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇は7銘柄にとどまりました。シスコシステムズ(CSCO)は3%近く上昇したものの残る6銘柄はいずれも1%未満の小幅な上昇となりました。
<下落>
ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が週間で4%近く下落したほか、ウォルマート・ストアーズ(WMT)とアップル(AAPL)も2%以上下げています。
先週発表された主な経済指標
イエレンFRB議長 ジャクソンホール講演
26日にイエレンFRB議長のジャクソンホールでの講演が行われました。議長は講演の中で「労働市場の回復など追加利上げの条件が整ってきた」との主旨の発言を行い、早期利上げに含みをもたせました。今週発表される8月の米雇用統計が堅調な内容であれば、9月20日から21日にかけて行われる連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが実施される可能性が高まりました。
さらにフィッシャー副議長がイエレン議長の発言について、「9月利上げおよび年内の複数利上げの可能性があることと整合性がある」と述べたこともあり、26日の米2年債利回りは前日比0.05%の大幅上昇となりました。
今後発表される主な経済指標
8月分米雇用統計
非農業部門雇用者数(前月差) 市場予想 +18.0万人 前月 +25.5万人
平均時給(前年比) 市場予想 +2.5% 前月 +2.6%
9月2日に8月分の雇用統計が発表されます。上述したようにイエレンFRB議長やフィッシャーFRB副議長は米労働市場の堅調な改善を背景に、利上げ時期が近づいているとの認識を示しています。
そして、9月のFOMCで利上げを行うかどうかの最大の判断材料が9月2日に発表される米雇用統計でしょう。非農業部門雇用者数が市場予想の18万人程度の増加、平均時給や失業率も前月同様堅調な内容であれば9月利上げの可能性が大きく高まるとみられます。
マーケットビュー
―2日発表の雇用統計が最大の注目材料に―
先週のマーケットビューではイエレンFRB議長の講演が注目材料で、年内利上げを示唆する発言があれば金利上昇・ドル高が進みやすそうと記しました。議長が年内利上げを示唆する発言を行うとともに、フィッシャー副議長も議長の発言に同意したことから米金利は大きく上昇しました。
今週はなんといっても2日に発表される米雇用統計に注目が集まります。雇用統計が堅調であればいよいよ9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが実施される可能性が高まりそうで、週の前半はそれを織り込む動きが出て金利上昇・ドル高が進みやすいとみられます。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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