今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
引き続き利上げを巡る思惑が重要に
先週の米国株式市場
―堅調な米経済への期待などから上昇―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は、ダウ平均が週間で96ドル高となるなど主要3指数が揃って上昇しました。米経済は堅調に成長していることへの期待などから株が買われました。2日に発表された米雇用統計は市場予想をやや下回ったものの、早期利上げ実施は変わらないとの見方から米金利は上昇傾向となりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中21銘柄が上昇しました。追加利上げが近づきつつあるとの思惑からゴールドマン・サックス(GS)とJPモルガン(JPM)の金融2社が買われました。また、ウォルマート・ストアーズ(WMT)は7,000人規模の人員削減に踏み切ると伝わりコスト削減期待から買われています。
<下落>
ナイキ(NKE)やキャタピラー(CAT)、ウォルト・ディズニー(DIS)など9銘柄が下落しました。
先週発表された主な経済指標
非農業部門雇用者数 8月 +15.1万人 市場予想 +18.0万人 前月 +27.5万人
平均時給(前年比) 8月 +2.4% 市場予想 +2.5% 前月 +2.7%
2日に発表された雇用統計は、全般的に前月から横ばいまたは悪化して市場予想をやや下回る微妙な内容でした。非農業部門雇用者数は前月差15.1万人増と前月から伸びが低下し市場予想の18.0万人増を下回りました。これにより6-8月の3ヶ月間の雇用者数の伸びの平均は23.2万人、1-8月の平均は18.1万人となっています。平均時給の伸びもやや弱く8月は前年比2.4%増と市場予想の2.5%増を下回っています。8月の雇用統計は全般的に「現状維持からやや悪化」と言った内容で、9月に利上げが実施されるか非常に判断に迷う極めて「微妙な」結果だったと言えそうです。
今後発表される主な経済指標
8月分ISM非製造業景況指数 市場予想 55.0 前月 55.5
6日にISM非製造業景況指数が発表されます。先に発表された製造業景況指数は49.4と前月の52.6から大幅に悪化し、半年ぶりに改善と悪化の境目となる50を下回りました。 市場予想では非製造業指数も前月の55.5から小幅に悪化して55.0まで低下するとみられています。
マーケットビュー
―引き続き利上げを巡る思惑が重要に―
先週のマーケットビューでは雇用統計が堅調であれば9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施されるとの思惑が高まり、米金利の上昇とドル高を招きやすそうと記しました。雇用統計はやや微妙な結果でしたが、概ね想定通り米金利は上昇基調となり円安ドル高が進みました。
今週も引続き9月のFOMCで利上げが行われるかという思惑がマーケットを動かすことになりそうです。材料としては、6日のISM非製造業景況指数、労働市場情勢指数(LMCI)、7日の地区連銀報告(ベージュブック)などが注目されます。また、金融政策の現状維持が予想されているものの、8日の欧州中央銀行(ECB)政策理事会も大きなイベントです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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