今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
FRB高官の発言に注目高まる
先週の米国株式市場
―早期利上げ観測の高まりによる金利上昇を受け大幅安―
<先週の概況>
レイバーデーによる休場明けだった先週の米国株式市場は、8日木曜日まではほぼ横ばいで推移しました。9日にこれまでハト派寄りと考えられていたローゼングレンボストン連銀総裁が早期利上げに前向きな発言を行い、米金利が大きく上昇したことなどからダウ平均は1日で400ドル近い下げとなり、週間でも400ドル超の大幅下落となりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇したのはシェブロン(CVX)1銘柄のみでした。原油価格が比較的堅調に推移したことから買われたようです。
<下落>
5%超下落したホーム・デポ(HD)のほか、ナイキ(NKE)・アップル(AAPL)・ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)の3銘柄が4%以上下落しました。アップルは新型iPhoneの機能に大きな驚きがなく、投資判断の引き下げがあったことなどから売られました。
先週発表された主な経済指標
ISM非製造業景況指数 8月 51.4 市場予想 54.9 前月 55.5
6日に発表されたISM非製造業景況感指数は51.4と前月の55.5から4.1ポイントの大幅悪化となり、市場予想を大きく下回りました。指数の内訳をみると、新規受注が前月の60.3→51.4に、業況が59.3→51.8にそれぞれ大幅に悪化するなど内容も良くありません。
先に発表された製造業と揃って大幅に悪化したことで、米経済の先行きに対する不安がやや高まった格好となり9月のFOMCでの利上げ判断に影響を与える可能性がありそうです。
今後発表される主な経済指標
8月分
小売売上高(前月比) 市場予想 -0.1% 前月 ±0%
自動車・ガソリン除く(前月比) 市場予想 +0.3% 前月 -0.1%
15日に8月の小売売上高が発表されます。16日に発表される8月の消費者物価指数と並んで9月のFOMC前最後の重要経済指標の発表となるため注目されます。
7月分は全体の売上高が前月比変わらず、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比マイナスとやや低調に終わりました。8月の自動車・ガソリンを除いた売上高は+0.3%と増加すると予想されていますが、再び低調に終わった場合FOMCで利上げが見送られる可能性もありそうです。
マーケットビュー
―FRB高官の発言に注目高まる―
先週のマーケットビューではISM非製造業景況感指数や労働情勢指数などの経済指標の結果を受けた利上げを巡る思惑がマーケットを動かしそうと記しました。これらの経済指標は事前の予想を下回るやや低調な結果で9月のFOMCでの利上げ実施予想はやや後退していましたが、金曜日のローゼングレンボストン連銀総裁の利上げに前向きな発言を受けて株価は大幅に下落しました。
今週は小売売上高や消費者物価指数といった指標のほか、ロックハート総裁、カシュカリ総裁、ブレイナードFRB理事などFRB高官たちの発言が予定されています。ローゼングレン総裁の発言がマーケットを大きく動かした後だけに利上げについてどのような発言が行われるか注目されます。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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