今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
トランプ氏とクリントン氏のテレビ討論に注目
先週の米国株式市場
―利上げ見送りを好感し上昇―
<先週の概況>
先週の米国市場でダウ平均は週間で137ドル高と上昇しました。また、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も週間で61ポイント高と上昇し、史上最高値を更新しました。20日から21日にかけて行われた連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが見送られたことが好感されました。FOMC後に発表された経済予測(プロジェクション)で年内に利上げが行われないと予想するメンバーが3人いたことなども好感されたとみられます。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ボーイング(BA)が4%の上昇で上昇率トップとなったほか、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)やJPモルガン(JPM)などが買われました。
<下落>
前週に週間で10%以上上昇したアップル(AAPL)に利益確定売りが出て1.9%安と下落率トップとなりました。その他にもインテル(INTC)やウォルマート(WMT)など前週に大きく買われていた銘柄の下落が目立ちました。
先週発表された主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)
20日から21日にかけて行われた連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想通り利上げは見送られました。ただし、声明文に「利上げの論拠は強まったと判断するがさらなる証拠を待つことに決めた」との文言が追加されるなど、利上げの時期が近づいていることをはっきりと示唆し、近い会合での利上げ実施が有力であることが表明されました。
ただし、追加利上げの時期が近いと示された一方でメンバーたちの経済予測(プロジェクション)において年内の利上げが1度もないと予想するメンバーが3人おり、メンバー全員の来年以降のFF金利予想が6月の発表値から大きく下方修正されるなど、今後の利上げペースが緩やかになることが示唆されました。
利上げ見送りや今後の利上げペースの示唆を好感し、米国株式市場は大きく上昇しました。
今後発表される主な経済指標
8月 個人消費支出(PCEコアデフレーター・前年比)市場予想 +1.7% 前月 +1.6%
30日に8月の個人消費支出(PCEコアデフレーター)が発表されます。同指標はFRBが物価上昇率を計る際に重視しており、その動向が注目されます。
市場予想では前年比1.7%の上昇と7月から上昇率が伸びるとみられています。同指標がFRBの目標とする2%に近づけばより利上げの可能性が高まるとみられます。
マーケットビュー
―トランプ氏とクリントン氏のテレビ討論に注目―
先週のマーケットビューではFOMCの結果に注意と記しました。結果的には市場の予想通り利上げは見送られ、さらに今後の利上げペースが緩やかになると示唆されたことを好感して米国株は上昇しました。
今週は日本時間27日にトランプ氏とクリントン氏のテレビ討論が行われ、「米国の進路」「繁栄」「安全保障」という3つのテーマについて討論が行われる予定となっています。現在はクリントン氏が選挙戦をリードしているとみられますが、過去にも同討論会をきっかけに大統領選の戦況が大きく変わったことがあることから注目されます。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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