今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
ISM景況指数に注目
先週の米国株式市場
―ドイツ銀行の信用不安などから連日大幅変動―
<先週の概況>
先週の米国市場でダウ平均は46ドル高と小幅に上昇しました。石油輸出国機構(OPEC)が減産に向けて合意するポジティブ・サプライズがあった一方で、ドイツ銀行に巨額の和解金支払いが命じられるとの報道で信用不安問題が持ち上がるなどのネガティブ・サプライズもあり、相場は一喜一憂となりました。ダウ平均は連日3桁の大きな値動きとなっています。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
OPECの減産合意を好感し、エクソンモービル(XOM)とシェブロン(CVX)の2社が大きく上昇したほか、エネルギー関連企業に建機を販売するキャタピラー(CAT)は8%近い大幅上昇となっています。
<下落>
ドイツ銀行問題を受けゴールドマン・サックス(GS)が2%超下落したほか、JPモルガン(JPM)も1%下落しました。
先週発表された主な経済指標
個人消費支出(PCEコアデフレーター・前年比) 8月 +1.7% 市場予想 +1.7% 前月 +1.6%
30日に発表された個人消費支出(PCEコアデフレーター)は前年比1.7%の上昇と、前月から伸びが拡大し市場予想と一致しました。同指数はFRBが物価上昇率の判断をする場合に重視していますが、まだFRBが目標とする2%は下回っており、引き続き利上げを急ぐ必要はないとのFRB内の意見をサポートすることになりそうです。
今後発表される主な経済指標
9月 ISM製造業景況指数 市場予想 50.3 前月 49.4
9月 ISM非製造業景況指数 市場予想 53.0 前月 51.4
3日にISM製造業景況指数、5日にISM非製造業景況指数が発表されます。両指数は8月分がそれぞれ前月から大きく悪化し、米経済の先行き見通しの懸念材料となりました。両指数の悪化は9月のFOMCでの利上げ見送り材料の1つになったとみられます。
市場予想では両指数とも9月は前月から改善するとみられていますが、改善幅が小幅であったりもし悪化が続いたりした場合、引き続き米経済の先行きの懸念材料となりそうです。その場合利上げ観測が後退し、ドル安圧力となるかもしれません。
マーケットビュー
―ISM景況指数に注目―
先週のマーケットビューではトランプ氏・クリントン氏の両大統領候補の討論に注目と記しました。クリントン候補が討論を優勢に進めたとの評価が多かったことから、トランプ氏の大統領就任可能性が低下し不透明感が後退したことを好感して翌日の米国株は上昇しました。
今週は月初とあってISM景況指数、雇用統計など重要経済指標が数多く発表されます。中でも特に注目されるのはISM製造業景況指数、ISM非製造業景況指数でしょう。両指数はどちらも9月に大きく悪化したことから利上げ見送りの判断材料の1つとなったとみられます。両指数が改善に転じれば米経済の先行き不安が後退し、12月利上げの可能性が高まるためドル高圧力となるとみられます。一方で改善幅が小幅にとどまったり、もし悪化したりすれば12月利上げの可能性も後退するとして円高ドル安圧力となりそうです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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