今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
企業決算が材料に
先週の米国株式市場
―企業決算への懸念などから続落―
<先週の概況>
先週の米国市場でダウ平均は週間で102ドル安と続落しました。上昇して始まったダウ平均ですが、アルコア(AA)など一部の企業決算が不調に終わったことから決算への懸念が高まって11日にダウ平均は200ドル安となり、その後も値を戻しきれませんでした。
また、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は、週間で1.5%安とダウ平均の0.6%安に比べて大きな下落率となりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
韓国サムスン社製のスマートフォンから発火現象が起き生産・販売停止となったことで、競合であるiPhoneの販売の追い風になるとして、アップル(AAPL)が買われて週間で3%超上昇しました。その他にもデュポン(DD)やベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、マクドナルド(MCD)などがそれぞれ上昇しました。
<下落>
シスコシステムズ(CSCO)が週間で4%超下げたほか、ファイザー(PFE)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ユナイテッド・ヘルスグループ(UNH)の3社が2%以上下落しました。
先週発表された主な経済指標
小売売上高(自動車・ガソリン除く、前月比) 9月 +0.3% 市場予想 +0.3% 前月 -0.1%
14日に発表された小売売上高は、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比0.3%増と市場予想と一致しました。同売上高は7月分・8月分と2ヶ月連続で前月から減少しており、個人消費が低迷しているのではないかとの懸念につながっていましたが、ひとまずその不安は後退する堅調な内容だったと言えるでしょう。
今後発表される主な経済指標
9月 消費者物価指数(CPIコア指数) 前年同月比 市場予想 +2.3% 前月 +2.3%
18日に9月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は、前年同月比2.3%の上昇と前月から横ばいになると予想されています。
FRBは物価の安定と雇用の最大化という2つの法的責務(デュアルマンデート)をおっていますが、好調な労働市場に加えて物価上昇率も上振れすれば、一層利上げ期待が高まり円安ドル高圧力となる可能性がありそうです。
マーケットビュー
―企業決算が材料に―
米企業の決算発表が本格化しつつあります。先週発表されたアルコアの決算が市場予想を下回ったことで米国株全体に売りが波及するなど、しばらくの間は企業決算が材料となりそうです。
14日時点のトムソン・ロイターの集計では、7-9月期は前年同期比0.3%の減益になると予想されています。今週は、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、IBM(IBM)、ネットフリックス(NFLX)、ゴールドマン・サックス(GS)、インテル(INTC)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、マイクロソフト(MSFT)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、マクドナルト(MCD)などが決算発表を予定しています。企業決算発表スケジュールの詳細はこちらをご参照ください。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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