今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
大統領選の不透明感が増し上値追いとはなりにくい展開か
先週の米国株式市場
―高安まちまちアップルやアマゾンの下落でナスダックは下落―
<先週の概況>
先週の米国市場でダウ平均は週間で15ドル高と小幅に続伸しました。大統領選や雇用統計などの重要経済指標の発表を前に方向感は出づらく、前週に引き続き小動きの日が続きました。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は、時価総額の大きいアップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)が下落したことなどを受け、1.3%安と下落しました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ボーイング(BA)は一株利益が市場予想を上回ったことが好感され、週間で5%超の大幅高となりました。また、決算が市場予想ほど悪化しなかったシェブロン(CVX)は2.5%高としっかりでした。
<下落>
今後の販売見通しが冴えなかったアップル(AAPL)が軟調だったほか、決算で売上高が市場予想を上回って悪化したエクソンモービル(XOM)も2%超下落しています。
先週発表された主な経済指標
7-9月期GDP速報値(前期比年率換算) +2.9% 市場予想 +2.6% 4-6月期 +1.4%
28日に発表された7-9月のGDP速報値は前期比年率換算2.9%の伸びと、市場予想を上回る堅調な内容でした。
堅調なGDP成長率を確認できたことで、12月利上げに向けたハードルをまた1つクリアしたと言えそうです。
今後発表される主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)
11月1日から2日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。今回も利上げ実施が議論されるとみられますが、今月の会合では利上げは見送られ12月の会合での利上げ実施が示唆されるのではないかと予想されています。その理由は1週間後に米大統領選を控えていることが大きく、無用な混乱をマーケットに与えたくないという思惑が働きやすいとみられます。
マーケットビュー
―大統領選の不透明感が増し上値追いとはなりにくい展開か―
先週の米国市場はアップルの下落などが重石となり、上値が重い展開でした。また、金曜日にFBIがクリントン大統領候補のメール問題について新たな調査を行うと表明し、大統領選を巡る不透明感が高まり、市場への冷や水となりました。
現時点でこの問題がどの程度広がりを見せるのか不透明ですが、不透明だからこそ市場はリスクオンになりづらいと思われます。足元のマーケットはクリントン氏が大統領選に勝利することを前提にしていたとみられ、メール問題が再燃しクリントン氏が大きく支持を落とすようなことがあればマーケットは警戒モードに入り、ダウ平均の1万8000ドル割れもありうると考えています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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