今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
クリントン氏勝利で反発、トランプ氏勝利で大幅安か
先週の米国株式市場
―トランプ・リスク警戒でS&P500は9日続落―
<先週の概況>
先週の米国市場でダウ平均は週間で272ドル安と反落しました。クリントン氏のメール問題が再燃して以降、トランプ氏の大統領就任可能性が高まったことを懸念してリスクオフの動きが強まり、ダウ平均は7日続落、S&Pは36年ぶりの9日続落となりました。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は週間で3%近い大きな下げとなっています。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
先週1週間で上昇したのはシェブロン(CVX)と3M(MMM)の2社のみとなりました。
<下落>
ファイザー(PFE)は7-9月期の一株当たり利益が市場予想を下回るとともに通期見通しの上限を引き下げたことが嫌気され、週間で6%安と大きく下落しました。その他にもアップル(AAPL)、ナイキ(NKE)が4%を超える下げとなっています。
先週発表された主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)
11月1日から2日にかけて行われた連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り利上げは見送られました。米大統領選を1週間後に控えているとあって今回は利上げが見送られるだろうとの事前の予想に沿ったものです。今回の最大の注目は、昨年10月の会合同様に「次回会合で利上げを行うか判断する」という意味合いの文言が声明文に記載されるかどうかでした。結果的にそうした明確な表現は盛り込まれませんでしたが、インフレ見通しを上方修正したことが特徴的でした。
また、前回の声明文でも利上げの時期が迫っていることは示唆されていましたが、インフレ見通しの上方修正もあってより踏み込んだ表現で利上げ時期が近いことが示唆されました。米大統領選で波乱がなければFOMCは次回12月13日・14日の会合で利上げを実施する可能性が高そうです。
今後発表される主な経済指標
11月 ミシガン大学消費者信頼感指数 市場予想 87.9 前月 87.2
11日に11月のミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます。市場予想では前月の87.2から小幅に上昇すると予想されています。
マーケットビュー
―クリントン氏勝利で反発、トランプ氏勝利で大幅安か―
先週の米国市場はクリントン氏のメール問題が再燃してトランプ氏の大統領就任可能性の高まったことを嫌気し、株価は連日下落しました。ただ、日本時間7日の朝方にFBI長官がクリントン氏の訴追を求めないとの書簡を議会に送ったと報じられるとドル円が大きく円安に振れるなど、マーケットにはリスクオフからの巻き戻しの動きが出ています。
今週は日本時間9日のお昼以降に結果が判明する大統領選の結果次第で大きく方向感が変わりそうです。クリントン氏が勝利すれば足元で調整が進んだことから、米国株の反発およびドル高が期待できます。一方でトランプ氏勝利となればネガティブ・サプライズとなり、一時的に大幅なショック安となる可能性もありそうです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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