米国株 Market Pick Up 今週の注目ポイント

今週の注目ポイント (原則月曜日更新)

世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。

執筆者:マネックス証券 プロダクト部

今後ドル高が企業業績の下押し要因となる可能性

先週の米国株式市場
―トランプ氏への政策期待根強く続伸―

<先週の概況>

先週の米国市場でダウ平均は20ドル高と小幅に続伸しました。前週に900ドル以上上げた後ながらトランプ氏の経済政策への期待は強く、ダウ平均は週初から上昇しました。ダウ平均は利益確定売りに押されて下げる場面もあったものの、底堅く推移し週間で小幅に続伸しました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は上昇著しく週間で1.6%高と史上最高値更新を伺う水準まで上昇しました。

米国株式市場バリュエーション

業種別リターン

ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング

<上昇>

ダウ平均を構成する30銘柄のうち13銘柄が上昇しました。マクドナルド(MCD)が週間で5%超の高い上昇率となったほか、引き続き金融規制緩和への期待からゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン(JPM)も買われました。

<下落>

決算で売上高が市場予想に届かなかったウォルマート・ストアーズ(WMT)が売られ、週間で4%近く下げました。また、業績見通しが市場予想を下回ったネットワーク機器のシスコシステムズ(CSCO)も同じく4%近い下げとなっています。

先週発表された主な経済指標

小売売上高(除く自動車・ガソリン、前月比) 11月 +0.6% 市場予想 +0.3% 前月 +0.3%

15日に実施された小売売上高は変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が前月比0.6%の増加と市場予想を大きく上回る伸びとなり、個人消費の強さを印象づけました。
米国の個人消費は堅調に推移しているようで、まもなく迎える年末商戦への期待も高まります。

今後発表される主な経済指標

FOMC議事要旨

23日に11月に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表されます。既にイエレンFRB議長は先日の議会証言の際に「近い将来の利上げ」について言及しており、現時点で12月の利上げ可能性は非常に高いと考えられます。議事要旨ではこうした方向性をサポートする内容になると思われます。

マーケットビュー
―今後ドル高が企業業績の下押し要因となる可能性―

先週の米国市場は引き続きトランプ氏の政策への期待が強く、続伸しました。足元のS&P500の予想PERは18.3倍と目安となる18倍を上回りやや割高感が出ています(グラフ1参照)。
現在はトランプ氏への期待感に湧く米国市場ですが、今後ドル高による企業業績圧迫が起きることを懸念しています。下記のグラフ2はドルインデックスとISM製造業景況指数の推移を示したもので、2つの指標が逆相関(2つの指標が反対の動きをする)にあることがわかります。もちろんドル高だけが景況感悪化の要因ではなく、原油安も大きな影響を与えていますが、ドル高が進むと企業の景況感は悪化しやすく、今後大きく進んだドル高は特にグローバルにビジネスを展開している企業の業績の足かせになるとみられます。
また、実際にトランプ氏が大統領に就任した後に税率の引き下げや財政支出の拡大を行えば、ドル高の悪影響を相殺するほどの好景気が訪れるかもしれませんが、現時点では政策の実現可能性は不透明です。企業業績の伸びが見込みにくい、またPERも高いとなれば米国株の上値はある程度限定的とみるのが妥当ではないかと考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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