今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
FOMC後に発表されるプロジェクションに注目
先週の米国株式市場
―トランプ期待強く大幅高で各指数が史上最高値を更新―
<先週の概況>
先週の米国市場はトランプ次期大統領の経済政策への根強い期待や好調な経済指標を受け、週を通して株価が上昇、主要3指数が揃って週間で3%超上昇してそれぞれ史上最高値を更新しました。
ダウ平均は週間で600ドル近く上昇し、2万ドルの大台に手が届きそうな水準まで上昇しています。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均を構成する30銘柄のうち28銘柄が上昇しました。中でも次期トランプ政権で財務長官などの要職への起用が続くゴールドマン・サックス(GS)が8%を超える上昇で2週連続でダウ平均採用銘柄の中で上昇率トップとなりました。また、JPモルガン(JPM)も5%近く上昇しています。また、来年最高経営責任者(CEO)の交代を行うと発表したコカ・コーラ(KO)も4%超上昇しました。
<下落>
ウォルマート・ストアーズ(WMT)とユナイテッド・ヘルスグループ(UNH)の2社が下げました。中でもウォルマートは1%超下げています。
先週発表された主な経済指標
ISM非製造業景況感指数 11月 57.2 市場予想 55.5 前月 54.8
5日に発表されたISM非製造業景況感指数は57.2と市場予想(55.5)を上回って前月(54.8)から改善する好内容でした。ヘッドラインを構成する4項目の内訳をみると、雇用・業況・入荷遅延の3項目が前月から改善し、新規受注は小幅な悪化でした。
先に発表された製造業指数とともに前月から改善しており、米国経済の先行きを見通す上で好材料となりそうです。
今後発表される主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)
13日から14日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。イエレンFRB議長をはじめとしたFRB高官たちは早期の利上げ実施を示唆する発言を行っており、今回の会合で1年ぶりの利上げが決定される可能性は非常に高そうです。
今回の会合での焦点は利上げの有無よりも、「来年以降の利上げペース」ということになりそうです。3月・6月・9月・12月のFOMC後には「プロジェクション」と呼ばれるFOMCメンバーたちの経済予測が公表されます。9月のFOMC後の2017年末のFF金利予測の中央値は1.125%でした。この予想が上方修正されることになれば、一段のドル高要因となりそうです。
マーケットビュー
―FOMC後に発表されるプロジェクションに注目―
先週の米国市場は、主要3指数が揃って史上最高値を更新しました。先週のマーケットビューでは、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、フェイスブック(FB)、アマゾン(AMZN)といった時価総額の大きいハイテク株の株価が出遅れていることをご紹介しました。
短期的な大幅上昇を期待していたわけではありませんが、ご紹介したハイテク各社は先週のレポートを執筆した前営業日である12月2日の株価を100とするとすべての銘柄が上昇し、さらにすべての銘柄が同期間のダウ平均のパフォーマンスを上回りました(グラフ参照)。
今週はなんといってもFOMCに注目です。利上げの実施自体は織り込み済みで、焦点は今後の利上げペースにどのような示唆が行われるかということです。9月のFOMC時のメンバーの予想より大幅な上方修正となれば、米金利の上昇そして円安ドル高要因になるとみられます。一方で米金利の大幅上昇は株式投資に対する相対的な魅力を下げるため、米国株に利益確定売りが出る契機となる可能性があり注意が必要でしょう。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
(※)印刷用PDFはこちらよりダウンロードいただけます。