今週の注目ポイント (原則月曜日更新)
世界最大の市場で、世界経済に大きな影響を及ぼす米国のレポートを週刊でお届けします。
執筆者:マネックス証券 プロダクト部
クリスマス休暇で閑散期間入りか
先週の米国株式市場
―ダウ平均は6週続伸、その他2指数は反落とまちまち
<先週の概況>
先週の米国市場は、ダウ平均は続伸した一方でS&P500やナスダック総合指数は小幅に反落と高安まちまちでした。
週初から上昇して始まったダウ平均は週の半ばに連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げが実施されるとともに、来年の利上げ回数の見通しが従来から引き上げられたことを受け反落しましたが、その後やや持ち直し、週間で86ドル高と6週続伸となりました。
米国株式市場バリュエーション
業種別リターン
ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均を構成する30銘柄のうち19銘柄が上昇、11銘柄が下落しました。ファイザー(PFE)とジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が3%超上昇したほか、原油価格上昇を受けエクソン・モービル(XOM)やシェブロン(CVX)もしっかりでした。
<下落>
大幅な上昇が続いていたゴールドマン・サックス(GS)とJPモルガン(JPM)の金融2社は揃って下落しました。
先週発表された主な経済指標
連邦公開市場委員会(FOMC)
12月13日から14日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラル・ファンド金利(FF金利)の0.25%の引き上げ(利上げ)が決定されました。昨年12月以来1年ぶりの利上げです。ただ、イエレンFRB議長をはじめとしたFRB高官たちはくり返し12月の利上げ実施を示唆していたため、利上げ実施自体に驚きはありませんでした。
今回の焦点は利上げ実施の有無ではなく来年以降の経済予測(プロジェクション)の内容でした。プロジェクションの中でも特に注目されていたのが2017年のFF金利の予想値で、結果的に同予想値は9月時点の1.125%から1.375%に0.25%引き上げられました。これは、9月時点でFOMCメンバーの来年の利上げ回数予想は2回でしたが、それが1回増え3回になったことを示唆しています。市場では金利予想は据え置かれるのではないかとの見方も出ていたため、発表を受け米長期金利は大きく上昇、115円どころだったドル円は117円台まで円安に振れました。
今後発表される主な経済指標
11月 PCEコア・デフレーター(前年比) 市場予想 +1.7% 前月 +1.7%
22日に11月のPCEコア・デフレーターが発表されます。同指標はFRBが物価上昇率の判断を行う上で重視する指標として知られています。市場予想では前年比1.7%の上昇と予想されていますが、同指標が上振れることがあれば来年の利上げ回数が更に増えることが意識される可能性があります。その場合ドル高進行要因となりそうです。
マーケットビュー
―クリスマス休暇で閑散期間入りか―
先週の米国市場でダウ平均は上昇、その他2指数は下落とまちまちでした。先週のマーケットビューでは、FOMCで来年の利上げペースが上がることが示唆されれば円安ドル高要因となる一方で米国株の利益確定の契機となる可能性があると記しましたが、概ね想定内の値動きとなりました。
今週は欧米がクリスマス休暇に入るため取引が閑散になりやすく、大きな方向感は出づらいとみられます。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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