チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、週の初めに今週のマーケットのポイントと見通し、予想レンジ等をお伝えします。
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広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
トランプ大統領の議会演説が最大の材料 失望売りに要警戒
今週最大の焦点は、トランプ大統領の上下両院合同会議での議会演説であることは衆目の一致するところだろう。トランプ大統領の議会演説は、現地東部時間2月28日午後9時に始まる。日本時間では3月1日午前11時に当たり、ちょうど東京市場の前引け直前である。海外の重要イベントの結果が判明するのが日本時間の昼間で、東京市場がその最初の「審判」を下す舞台になるのは、昨年6月の英国国民投票、11月の米大統領選と同じケースである。「二度あることは三度ある」という言葉もあり、波乱に備えたい。
演説の内容は、これまで述べてきたことの繰り返しと政策の大枠を示すにとどまるだろう。減税策の詳細まで踏み込んだものは出てこないと思われ、市場は失望をもって受け止めるだろう。上で「波乱に備えたい」と述べたが、BREXITや大統領選のような急落はないと思う。なぜならその両者はまさに「サプライズ」だったから市場は過激な反応をしたが、今回の議会演説はそれほど期待が高くなく、事前に失望的な内容になることの織り込みが出来ている。ドル円は先週末のNY市場で一時111円93銭と9日以来およそ2週ぶりの円高水準まで円が買われた。シカゴの日経平均先物は一時19,075円まで下げた。「トランプ演説=失望的」が徐々にコンセンサスになりつつあるので、逆に踏み込んだ話が出たほうがサプライズになる。
まとめると、トランプ演説は市場にとってネガティブなものになる可能性が高く(90%)、その場合でも下げは限定的(日経平均19,000円割れがあるかどうか)。反対にポジティブなものになる可能性は低い(10%)が、もしそうなったら相場は急騰するだろう(日経平均で500円程度はあがるだろう)。
来週は月末月初につき、重要経済指標の発表が目白押し。日本では28日に1月の鉱工業生産の速報値、3月1日は10-12月期法人企業統計季報が発表される。3日には1月の全国CPI(除く生鮮食品・エネルギー)が発表される。米国では28日に10-12月期実質GDP成長率改定値、1日には1月の個人消費支出とPCEコアデフレータが発表される。PCEコアデフレータは5ヶ月連続で前年比1.7%となっているが、伸び率が一段と高まるか注目される。1日には2月のISM製造業景況指数の発表もある。1月は市場予想を上回り、2014年11月以来およそ2年ぶりの高水準となった。さらにベージュブック(地区連銀経済報告)も発表される。ユーロ圏では28日に2月CPIが発表される。1月は市場予想を上回る大きな伸びとなった。ユーロ圏の景況感も改善しており、政治リスクとの綱引きとなりそうだ。中国では1日に2月のPMIが発表される。
ちなみに米雇用統計は今週末ではなく来週末に発表。3日にはイエレンFRB議長の講演が予定されているほか、任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が発売される。
日経平均の予想レンジは18,900円~19,700円としたい。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆
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