今週のマーケット展望

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、週の初めに今週のマーケットのポイントと見通し、予想レンジ等をお伝えします。

広木 隆が投資戦略の考え方となる礎を執筆しているコラム広木隆の「新潮流」はこちらでお読みいただけます。

広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

円高が懸念されるも2万3500円割れは押し目買いの好機

今週も円高の進行が懸念材料だが、株式相場は耐性がついてきたようだ。111円割れ目前までの急激な円高に対しても、下げ3日間の累計でわずか200円弱。しかもその前は3連騰で1085円上げている。1000円超の急伸に対して円高が加わっても下げは限定的で相場の基調は底堅いと見るべきだろう。底堅さの背景は、出遅れ物色が続いていて、相場全体の底上げが図られているからだ。

例えば、先週金曜日はメガバンクのなかでみずほFGだけがプラスだったが、みずほFGは他の2行に対して出遅れが顕著である。業種別で年初来リターンがトップの証券は昨年年間の騰落率ランキングのワースト3。年初来で2位の不動産は昨年のワースト2。これはリターン・リバーサルだ。急騰した主力株を買い進めるのは躊躇するが、今からでも買えるものを拾おうという姿勢に旺盛な物色意欲が見てとれる。

そうは言ってもドル円が110円台まで突っ込めばさすがに一段安となるだろう。下値目途は2万3500円を割り込む辺りか。昨年の大納会から急上昇した分の38.2%押しに当たるのが2万3494円なので、2万3500円割れの水準では調整一巡感も出るだろう。そもそも今回の円高は、米国金利の上昇と逆行する形で起きており、持続性に疑問符がつく。円高進行が限界的との前提で押し目買いのタイミングを計りたい。

20180115.jpg(出所)Bloomberg

今週は目立った指標の発表が少ない。17日発表の機械受注、18日の中国のGDPくらいか。

米国では先週12日、JPモルガン・チェース等の金融機関が四半期決算を発表し、主要企業の決算発表シーズンが始まった。日本でも来週から3月期決算企業の決算発表が本格化する。再度、企業の好業績が意識されやすい時期が巡ってくることも、深押しに至らない理由のひとつである。

日経平均の予想レンジは2万3450円~2万4000円とする。

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