チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、週の初めに今週のマーケットのポイントと見通し、予想レンジ等をお伝えします。
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広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
円高懸念と割安・出遅れ感の綱引き 2万2000円台回復を試すか
先週金曜日の日本株相場は105円台に進んだ円高にもかかわらず続伸した。日経平均は2万1000円と200日移動平均を割り込んだところで切り返し、その安値から700円超上昇したが、震源地・米国株に比べて戻りが鈍い。200日移動平均に下ヒゲがタッチして戻すのはS&P500と同じパターンで、日経平均も反発に向かう連想がわきやすい。しかも、4-12月期の決算を終えて業績が一段と向上し、PERなどのバリュエーションで割安感が台頭している。米国対比の出遅れ感と割安感から今週は2万2000円台回復を試す展開と思われる。
日本株の出遅れ感は円高が重石となったからだが、さすがに105円の節目を超えるような円高進行は想定しにくい。このブログ(「円高の本当の理由 円高はどこまで進むか」)で述べたように、現在のドル・インデックスの水準は90年以降の平均を若干下回るところであり、ドル高の是正は十分なされている。これ以上のドルの下落はまさに「ドル安」水準である。いかにトランプ政権が保護主義を強めようとも、高関税政策などの輸入制限とドル安の組み合わせでは、本当に米国は外国からモノが買えなくなって困るのは米国民である。
プラザ合意のドル安誘導は米国の長期金利が低下するなか行われたが、現在米国の金利は上昇傾向にあり、そうした環境下ではどこまでもドル安が続くものでもあるまい。
決算発表も終わり今週は日米ともに材料不足のなか21日に公表されるFOMC議事録(1/30-31日開催分)には要注意であろう。1月のFOMCの声明文では物価に関する表現が上方修正された。また、今後の利上げについて前回の文言「漸進的な政策金利の引き上げ」の前に「更なる」との表現が追加された。今週の議事録が改めてインフレや利上げに関してタカ派的との印象を市場に与えると、金利上昇などを経由して再び株式市場に動揺を与えかねない。警戒したい。
今週の予想レンジは下値は2万1000円、上値は半値戻しの2万2500円強としたい。
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