チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。
広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
【新潮流】第26回 株主総会
◆株主総会シーズンが佳境を迎えている。マネックスグループの株主総会も過去最高数の株主の皆様にご来場いただき平穏無事に終了した。
◆マネックスGが総会を開いた先週土曜の日経新聞夕刊1面記事は「株主総会、お土産やめます」。招集通知で、お土産を配らないと記した3月期企業は前年に比べ4割増えたと記事は伝えている。コストを削減し、その分、配当などで還元しようという機運が高まっている。
◆株主の反応は明確だった。お土産をなくした一部の企業では総会に出席する株主が激減。ソニーの今年の総会出席者数は去年の半分。吉野家やココスも、出席者数が前年の3分の1に急減したという。
◆話を一歩進めて株主優待。優待を楽しみにしている個人投資家は多い。事実、この時期書店に並ぶマネー誌は株主優待特集の花盛り。しかし、あえて言おう。株主優待など廃止したほうがいい。自社製品とはいえコストはゼロではない。であれば、その分の金額を配当に上乗せするべきだ。モノでもらうのとおカネをもらうのとでは、どちらがいいですか?(かつてのエイベックスのように株主優待ライブのような「おカネで買えない価値があるもの」は除く)
◆先日発表された株式分布状況調査によると、外国人の株式保有比率は初めて3割を超えた。一方、個人投資家の保有比率は2割を切っている。日本企業はコーポレートガバナンスを強化し、グローバル水準のROEを目指していこうという時代である。海外で株主優待という制度はほとんどない。無論、株主優待は外国人投資家には届けられない。株主優待という制度を見直す時機にきているのではないか。グローバルな投資家層を株主に迎えようとする現代にあって、株主平等の原則に著しく反すると思われるからだ。
◆マネックスGの総会も平穏無事に終わったと述べたが、ひとつだけ不手際があった。想定を超える多くの株主にご来場いただいたために、用意していたお土産が足りなくなってしまったのだ。お土産をなくした企業では総会に出席する株主数が激減したという報道が流れるなか、本日の小欄の主張は、当社のお土産事情とはなんら関係がないことをお断りしておく。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆