チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。
広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
【新潮流】第59回 日焼け
◆私事で恐縮だが先日、千葉の外房の海に行ってすっかり日焼けしてしまった。日焼けというより軽い火傷に近い。痛くて痒くてどうにもならないが、これが夏だとも思う。最近では女性はもちろんのこと男性でもラッシュガードを着用し日焼け防止に努めるひとが多いが、僕に言わせれば、海でラッシュガードは邪道である。海では、なるべく「裸に近い格好」でいるべき、というのが僕の持論だからである。
◆暑い夏と日焼けというテーマでは、水島新司『あぶさん』に確か、こんな話があったように記憶している。当時の南海ホークス2軍の拠点であった中モズの球場。真っ黒に日焼けした景浦(あぶさん)に厳しい言葉が飛ぶ。「涼しいナイターでやりたかったら、早く1軍に上がることだ」 他のシチュエーションはうろ覚えだが、「涼しいナイターでやりたかったら」という台詞が印象的で今も心に残っている。
◆プロ野球の選手ともなると、あまりハードな練習はしないものと思われがちだが、そんなことはない。昔の西武ライオンズは猛練習で知られたし、今季好調な広島カープも練習の厳しさでは有名だ。そうしたなかから菊地や丸など主軸を担う選手が育ってきた。広島のファーム、由宇球場は、岩国の山の中にあり「野球をする以外何もできない」場所である。山を切り開いて作られた球場に日陰はなく、とにかく暑い。今は真っ白な顔で広島の3番を打つ丸も、「もう二度と戻りたくない」という。ファームとはそういう場所である。
◆努力の専売特許は若者だけではない。プロであっても、がむしゃらな努力が必要である。いや、プロだからこそ努力が必要なのだ。その証が日に焼けた顔である。しかし、日焼けの度合いでは、やはり彼らに敵わない。明日から第96回全国高校野球選手権大会が甲子園で始まる。高校野球の魅力は、真っ黒に焼けた球児と白球のコントラストにある。彼らの熱闘に声援を送ろう。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆