新潮流

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。

広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

【新潮流】第68回 手と頭脳

◆昨日小欄で取り上げた「ググる」。「ググる」という言葉が日本語の辞書に収められているかを調べるため、「新語」「辞書」「収録」などの言葉でググって(ネット検索して)いると、「指恋」なる言葉があると知った。「好きなひとと携帯メールでやりとりすること。また、携帯メールをやりとりするうちに恋愛関係に発展すること」の意味だという。今の若いひとはLINEのようなメッセージ・アプリかフェイスブックのようなSNS経由で連絡を取り合う。「携帯メール」は過去のものになりつつあるが、「指恋」自体はあり得るだろう。スマホの主な入力方法「フリック入力」だって指を使うことには変わりない。

◆川端康成の小説『雪国』に有名な台詞がある。「この指が、君をおぼえていた」。主人公がヒロインと再会したときの言葉である。確かに「指が覚える」「手が覚えている」という感覚は理解できる。例えば、電話番号を記憶していなくて諳んじることはできなくても、手が勝手に動いて正しくダイヤルできた、という経験はないだろうか。

◆足が第二の心臓なら、手は第二の頭脳である。そもそもホモ・サピエンス(人類)は手を使うことで脳が発達してきた - と昔はそう教わったが今の説は違うらしい。そうであるならチンパンジーもかなり上手に手を使うが一向に人間にならないではないか、というのが反証である。

◆ホモ・サピエンスが人間になったのは言語を獲得したからである。そしてそれは二足歩行によって喉頭がずり下がったからだと言われている。付け加えるなら「完璧な」二足歩行である。チンパンジーやゴリラは二足歩行はできるが、体重移動や補助的に手を地面に付ける四足歩行の点で完全とは言えない。類人猿の前かがみとヒトの直立とは全く違うものである。直立(垂直)だと喉頭が肺の重みなども加わってずり下がるが、垂直でなく斜めだと摩擦のため、下への力がほとんど働かない。これだと言語獲得の進化に結びつかないというわけだ。

◆最近、よく見かける「スマホ歩き」。みんな猫背で前かがみに歩く。これ、もしかしたら、言語能力の低下につながる退化の兆候ではないだろうか?

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

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