新潮流

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。

広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

【新潮流】第83回 ショーガール

◆先日、渋谷のパルコ劇場で「ショーガール」の舞台を観た。「ショーガール」といえば、木の実ナナ、細川俊之のコンビで1974年から1988年までシリーズ上演された名ステージである。大人の恋の物語を歌と踊りで綴り、多くの観客を魅了した。パルコ劇場の歴史は「ショーガール」抜きには語れない。今回、四半世紀ぶりに復活した「ショーガール」は脚本家・三谷幸喜、念願の企画である。

◆開演は夜の10時。夏の夜、1時間限りのショーである。今回の出演は川平慈英とシルビア・グラブ。二人の息の合った舞台は圧巻だった。ショーが跳ねたあとも興奮が冷めやらない。遅い時間にもかかわらず、すぐにタクシーを拾う気にならなかった。冷たいビールで喉を潤し、ショーの余韻に浸った。

◆ジャネット・イエレンFRB議長を「ショーガール」と呼んだら失礼だろうか。今回のFOMCとその後のイエレン議長の会見は誰もが固唾を飲んで見守ったマーケット最大の「ショー」。そのショーの主役がイエレン議長そのひとで、彼女は市場の期待に応えて完璧なパフォーマンスをわれわれ「観客」にみせてくれた。敬意をこめて「ショーガール」とお呼びする次第である。

◆イエレン議長は、タカ派、ハト派、その中間と、多彩な顔ぶれのFOMCメンバーを見事に取り仕切り、出口戦略の道筋を市場に示した。「相当な期間、ゼロ金利を保つ」、「利上げは経済次第」といったこれまでの文言を繰り返し、市場に先入観やいたずらな動揺を与えることなく、FOMCメンバーの金利予測を淡々と示すことで、FEDが考える金融正常化のメッセージを上手に市場に伝えた。完璧な「舞台」だった。これを受けたNYダウ平均は史上最高値を再び更新した。

◆パルコ劇場の「ショーガール」はこの前の日曜日が楽日。暑さ寒さも彼岸まで、というが渋谷の街にも秋風が吹き始め、夏の終わりとともに今年の「ショーガール」は幕を閉じた。また来年もやってほしい。できれば再来年も、その次も。ロングランとなることを期待したい。かたや米国の金融政策、QE(量的緩和)の閉幕は来月である。これまで景気回復が覚束なく、一度ならずも二度、三度、QE2、QE3と発動を迫られてきた。ロングランとなったQEに、ようやく幕が下りるのだ。「カーテンコール」はどうぞ、ご遠慮願いたい。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

【お知らせ】「メールマガジン新潮流」(ご登録は無料です。)

チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから

レポートをお読みになったご感想・ご意見をお聞かせください。

過去のレポート


マネックスレポート一覧

当社の口座開設・維持費は無料です。口座開設にあたっては、「契約締結前交付書面」で内容をよくご確認ください。
当社は、本書の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本書の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。本書の内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。