新潮流

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、投資戦略の考え方となる礎をご紹介していきます。

広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

【新潮流】第85回 お彼岸に思うこと

◆昨日はお彼岸の中日だった。中日は混むから避けて、彼岸の入りに墓参りを済ませてしまうのが常だが、先週末は福岡での投資セミナーなどがあり都合がつかなかった。昨日の東京地方は抜けるような青空が広がる秋晴れ。さぞや墓参りは混むだろうと覚悟して出かけたものの、道路も参道も墓地もガラガラで拍子抜けした。子供のころ、彼岸の墓参りは道路が渋滞して嫌だった。墓参客目当てで出店なども出ていて、「お墓参りなのにお祭りの縁日みたいだ」と子供心にも違和感を抱いたものだった。昔は、それだけ多くのひとがお彼岸に墓に参ったのである。今は、彼岸に墓参りをするひとが本当に少なくなった、ということである。

◆日本の生産年齢人口(15~64歳)は、1995年以降、緩やかに減ってきたものの、12年から減少率が加速し、12年末時点で8千万人割れとなった。生産年齢人口というのは、経済活動の中心を担う層だが、経済活動だけにとどまらず社会生活でもっともアクティブに活動する層である。その人口が減っている。つまり率先して墓参りをしようという層の人口が減っているのである。

◆一方、「敬老の日」の小欄でも取り上げたように、高齢者は増加の一途だ。高齢者というのは、言ってみればこれまで墓参りなどの習慣を大切にしてきた層である。そこが増えているなら墓参りは安泰かというとそうではない。霊園墓地というのは大抵が丘陵になっており、足腰の弱ったお年寄りには車がなければ難儀である。車があっても、歳をとるとだんだん億劫になってくるらしい。僕の父の命日は厳寒の時期だが、ここ数年「寒いからお墓に行くのはやめよう」と言い出すのは決まって母である。

◆しかし、それほど人口が減っているという実感はない。ショッピングモールなどは大盛況だ。ひと、ひと、ひとの波である。都市部への一極集中で、人口流入が続いているから僕の周りに「ひと」は大勢いる。だが、彼らのお墓は故郷にあるのだろう、彼岸の墓参りとは無縁である。兎にも角にも、日本の生産年齢人口は減少しており、外食や建設業などで深刻な人手不足が起きている。もっともアクティブに活動する層の人口が減る日本。テーマパークやアウトレットモールなど楽しい場所にはひとが押し寄せる。労働条件が悪い仕事にはひとが来ない。魅力のある・なしで、限られたひとが移動する。お彼岸の墓参りを、魅力のある・なしで判断する時代にはなってほしくない。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

【お知らせ】「メールマガジン新潮流」(ご登録は無料です。)

チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから

レポートをお読みになったご感想・ご意見をお聞かせください。

過去のレポート


マネックスレポート一覧

当社の口座開設・維持費は無料です。口座開設にあたっては、「契約締結前交付書面」で内容をよくご確認ください。
当社は、本書の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本書の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。本書の内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。